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日本完全帰国:永住権放棄 vs アメリカ市民権取得+日本の在留資格

永住権(グリーンカード)保持者で日本への完全帰国を考えている人は、(1) 日本帰国後も永住権を維持する、(2)永住権放棄、(3)アメリカ市民権を取得後に日本の定住資格を取ってアメリカ人として生活するという選択肢の中から選ぶと思います。ということで、永住権放棄の話に移る前に、その他のオプションについても簡単にみていきたいと思います。

1. はじめに

予告編で説明しましたが、日本への完全帰国もありかなと最近思い始めました。と言っても決定ではなく、今のところ日本帰国の可能性が6割位、アメリカに残留の可能性4割という感じで考えています。ということでどちらに転んでも大丈夫なように、日本に完全帰国する前に知っておきたいことを調べ始めました。

まずは永住権(グリーンカード)の放棄ですが、その前提として永住権放棄のメリットおよび永住権放棄以外のオプションについても考えてみました。 以下、(1) 日本帰国後も永住権維持、(2)永住権放棄、(3)アメリカ市民権を取得後に日本の定住資格を取ってアメリカ人として生活するの順に検討していきます。

2. 帰国後もアメリカ永住権を維持

まず、一つ目の選択肢の「日本に帰国後も永住権を頑張って維持する」ですが、日本へ完全帰国するという意思でアメリカを離れた場合には、永住権の保持はほぼ無理なのかなと思います。アメリカ移民局(USCIS)のサイトでも以下のように書かれています。

Abandoning Permanent Resident Status: You may also lose your permanent resident status by intentionally abandoning it, including but not limited to:
・Moving to another country and intending to live there permanently;
(以下略)

(Source: USCIS: Maintaining Permanent Residence)

カルチャーショック(主人の場合)、逆カルチャーショック(私の場合)等もあるかもしれないので、日本でうまく生活できるようだったら完全帰国する、駄目だったらアメリカに戻ってくる、いわば最初のうちはお試し帰国と思っている間は「intending to live there permanently」にはあたらないかもしれません。

とはいえ、アメリカ国外にいながら永住権を保持するにはかなりの努力が必要のようです。例えば私の大学時代の友人の中に自力で永住権を取った後にアメリカ人と国際結婚した人がいます。彼女の場合はご主人の転職で日本に数年住んだ時に再入国許可証を何度か取り直したのはもちろんですが、日本にいる間は何度も時には数か月に渡って渡米していたようでした(ちなみに、ご主人はその後また転職して今はまたアメリカにいます)。また、これは友人の知り合いの話なので又聞きになりますが、永住権維持の目的で日本に帰国する前に賃貸用の家(自分で住むわけではないので、治安が悪いけれども安価な物件)を購入して管理会社に任せることによって永住権を維持するための努力をしている方もいるようです。

参考までに、永住権の維持に関する弁護士事務所の見解を見つけたので紹介します。

米国外に住んでいても、グリーンカードを維持する事は可能ですか?
可能です。但し、米国を離れたのは「一時的」であり、再度米国に帰ってくる意図がある場合にのみ可能です。この様な場合は、米国での銀行口座の維持、米国運転免許証の維持、米国での税金申請、米国での家の所持(家を第三者に貸し出す事も含む)など、米国との関係を維持しようという態度を見せる事が重要です。その様な努力をした上で、なぜ米国外にいるのか、そしていつ米国に戻るつもりなのかなどつじつまの合う様な言い訳を準備しておく事も必要です。この方法でグリーンカードを維持する人はたくさんいます。

(出典:Law Office of D.J.Jones PLLC: 国外滞在中でもグリーンカードを維持する方法)

個人的にはそこまでするのは大変そうなので、このオプションはないかなと思っています。もっとも、国際結婚で義両親や義兄弟が協力的(住所を借してくれたり、渡米時に長期間泊めてくれたりする)であるとか、既に独立生計した子供がアメリカにいて協力的(同上)、既にアメリカに賃貸物件を持っている等の事情がある人にはさほどハードルが高くないのかもしれません。

3. 永住権の放棄

一番現実的なオプションとしては、永住権の放棄があげられます。このメリットとしては、日本に完全帰国後にアメリカへ旅行するときに「長期間海外にいたからグリーンカードをとりあげられてしまうかも」「別室送りになったらどうしよう」等、びくびくせずにいられること・確実にアメリカに入国できることだと思います。

デメリットとしては、「covered expatriate」と認定された場合には出国税の支払いが必要となることがあげられます。どんな場合に 「covered expatriate」と認定されるのか、出国税とは何かについては機会を改めて説明します。

尚、すぐ下に引用していますが、永住権を放棄することによって移民法上の不利益を受けることはないようなので、また必要になったときに永住権を申請する条件が整っている場合には取り直すことができます。一見面倒くさいですが、賃貸用の家を購入して維持・管理することと比較すると時間的にも費用的にもずっと楽なのではないと思います(これは配偶者がアメリカ市民だからの発想かもしれませんが)。

特記事項:永住資格(グリーンカード)を放棄することが、将来米国への移民ビザ申請に影響を及ぼすことはありません。ただし、申請手続きを最初から始める必要があります。

(出典: US Embassy in Japan: 永住資格の放棄(I-407))

念のため調べてみましたが、永住権放棄後は通常のビザ免除でアメリカに入国できるようです。尚文中のLPRとはLawful Permanent Resident(合法永住者)の略です。

What Happens After Giving Up LPR Status: Once an LPR has completed and submitted the I-407 and surrendered the green card, this act is irrevocable, meaning it cannot be undone. The result is that the former LPR now might need a visa to travel to the U.S., or might be able to travel without a visa under the Visa Waiver Program, which applies only to citizens of certain countries. You will also, on future trips to the U.S., need to carry your USCIS response to your I-407 with you.

(Source: Nolo: How to Voluntarily Abandon Lawful Permanent Residence (a Green Card)

以下が私が言いたいことが全て盛り込まれています(日本人向けに書かれているわけではないので、アメリカへの旅行にビザが必要になると書かれていますがビザが必要になる国もあるということでさらっと読み流してください)。

So, trying to hang onto your U.S. green card after moving to another country could mean that you ultimately waste time and money in any attempts to travel to the United States. You might just be turned around at the border or airport and sent home.

After filing an I-407 with U.S. Citizenship and Immigration Services (USCIS) to voluntarily give up the green card, your situation will be much clearer. You’ll still be able to apply for entry visas for short trips to the United States. And if someday you want to apply for a new green card, the fact that you voluntarily abandoned your residency earlier will not be held against you. (Do not assume, however, that you can simply get your old green card back. It might be that you no longer qualify for it.)

(Source: AllLaw: Why Voluntarily Abandon Your Green Card? I-407 FAQ)

4. アメリカ市民権の取得

アメリカから長期間離れていてもいつでもアメリカに戻れる上に日本にも住める方法としては、アメリカの市民権を取得し、そのうえで日本で生活するときには日本での定住資格を取得するという手段もあるかと思います。

元日本人がアメリカの市民権を取得後に日本の定住資格を取る場合には、最初は「日本人の配偶者」という在留資格を取得するのが一般的のようです。「等」というところに「日本人の子供」(=親が日本人)という資格も含まれているからだそうです。以前興味があって調べたのですが、申請時に親が存命である必要はないそうなので、親が高齢だから急いで手続きしなくてはいけないということでもないようです。

また、以下の通り、元日本人の場合は日本の永住権も比較的短期で取得できる可能性があるようです。

日本人や永住者、特別永住者を親に持つ子供(実子または特別養子)は日本に来て1年経てば特例で永住権(永住ビザ)を獲得できる可能性があります。

(出典:VisaConサービス大阪 永住Ver: 日本永住権の取得までの必要年数と短縮されるケース)

私のように配偶者が外国人の場合には、配偶者の日本での在留資格を取るために日本国籍を持ち続ける必要がある(と思う)ので、日本に夫婦そろって住むためにはアメリカの市民権の取得という選択肢は対象外となる場合がほとんどだと思うのですが、 独身または日本人夫婦の場合は検討に値するオプションだと思います。

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