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アメリカ生活:心停止からの生還・回復記録 (1) — 救急車編

数か月前に主人が心停止となりました。無事に蘇生できたものの、人工呼吸器からの離脱が順調にいかなかったため気管切開&胃ろうを経由しましたがどちらも無事にとれ、リハビリ病院への転院を経て無事に退院しました(現在は通いでリハビリ中です)。ということで、アメリカでの入院事情、リハビリ、医療費など、主人の入院中に調べたこと・学んだこと、退院後の生活などを書き綴っていく予定です。とりあえずは救急車編です。

1. 突然の胸の痛みと心停止

それは普段と変わらない日でした。私はコロナ禍が始まって以来リモート勤務なので仕事中でした。主人は諸事情で早期退職していて基本的に家の家事を受け持っているのですが、週に2回ほど隣人の犬の散歩をさせており、その日は散歩を頼まれていた日でした。

犬の散歩をすませて帰宅後、私の隣でインターネットをしていた主人が、突然胸の痛みを訴えました。実は今回が初めてではなく、数か月前にも同様に胸の痛みを訴えたことがあったのですが、しばらく安静にしていたら収まったのでその日もあまり深く考えず様子見をしてしまいました。その後、吐き気を訴えてキッチンの流し台で吐いた主人は、流し台に洗い物が残っていると文句をいいつつ、履いていたジーンズを脱いで、上はTシャツ下は下着姿でソファーに横たわりました。

私が一旦仕事を中断し、流しに残っていたお皿を洗っているときに、主人がいびきのような音を出しながら咳をするのが聞こえました。かなり大きな音だったので心配でしたが、もう少しで皿洗いが終わりそうだったのでお皿を洗うのを止めずに、洗い終わってから大丈夫か確認をしに行きました。その時点では主人は目を見開いたまま微動だにせず、すでに呼吸が止まっていました。

反省点:数か月前に胸の痛みがあった時、または後日になぜすぐにお医者さんに連れて行って検査をしてもらわなかったのか、また、胸の痛みを訴えたときに様子見をせずになぜすぐに救急車を呼ばなかったのかと、悔やむことが多いです。

2. 911コールとハンズオンリーCPR(胸骨圧迫)

何度か呼びかけましたが当然ながら返事がなかったので、救急車を呼ぶべく911をダイアルしました(日本では119ですが、アメリカでは911が救急車を呼ぶとときの番号です)。ラッキーだったのは、スマートフォンを使ったため途中からスピーカーフォンにできたことです。911のオペレーターに経緯を説明した後、「CPRを行う心づもりはあるか?」と聞かれ、「Yes」と答えたところ、やり方を教えてくれたうえで、救急車が来るまで「1、2、3 …」と延々と電話口で胸を押すタイミングを指示してくれました。教えてもらったのは両手を使っての胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)なので、スピーカーフォンにできない電話だと難しかったと思います。

ちなみに、以下はWikipediaからの抜粋ですが、911オペレーターが教えてくれたやり方と一致します。尚、人工呼吸は不要で、とにかく一定のリズムで胸骨圧迫をし続けるようにとのことでした。

胸骨圧迫(きょうこつあっぱく)とは、一般に心臓マッサージと云われるものである。
心肺蘇生法の中心を成す対処法で、心停止した人の胸の心臓のあたりを両手で圧迫して血液の循環を促す。 胸骨の下半分、胸の真ん中に手の付け根を置き両手を重ねて、圧迫する。肘を真っ直ぐ伸ばし、100〜120回/分の速さで継続出来る範囲で強く、圧迫を繰り返す。ガイドラインでは「胸が約5cm沈むように圧迫するが、6cmを超えないようにする」とあるが、その場で測れる訳ではないので、継続出来る範囲で「強く」で良い。押したらしっかりと胸を元に戻す。訓練を受けていない救助者は自動体外式除細動器(AED)、または救急隊到着までハンズオンリーCPR、つまり胸骨圧迫だけを続ける。

引用元:ウィキペディア: 心肺蘇生法

911オペレーターに「主人はソファーに横たわっている」と伝えたところ、床におろせるか聞かれました。無理だと伝えたところソファーに横たわったままでも良いといわれました。救急車が来る前には、主人の首のあたりがだんだんと紫色に変わっていきました。床におろさずソファーに横たわらせたまま胸骨圧迫をやっているせいかも、押し方が弱すぎて効果が出ていないのかも、といろいろと要因が思い当たりとても怖かったのを覚えていますが、たとえ完全ではなくても何もやらないよりはましなはずと、とにかく胸骨圧迫を続けました。

ちなみに、同じくウィキペディアからの引用ですが、「アメリカ心臓協会(AHA)のTVコマーシャル では、一般市民向けにもっと簡略化して『まず救急へ通報、次に胸の真ん中を強く早く押す』、だけを強調している。」そうです。また、911への通報後の胸骨圧迫の大切さについても以下のように説明されています。

ハンズオンリーCPR、すなわち胸骨圧迫だけでも良いとする根拠は、現行のガイドラインが、すべての人に完璧な心肺蘇生法を要求するのではなく、ひとつだけでも正しいことが行えるように普及することを、救命のための重要な理念としているためである。そのことから蘇生の最も重要な鍵とされている絶え間ない胸骨圧迫に焦点を置いた指導をいう。実際の場面では人工呼吸への抵抗感からCPRを躊躇する人が多く、胸骨圧迫だけで良いならCPRの実施率が期待できること。目の前で倒れた人の場合は、倒れて10分程度の救急車が来るまでの時間であれば、絶え間ない胸骨圧迫が行われた場合の救命率が高いというデータがあることなどによる。ただし、呼吸停止から心停止となることが多い小児や溺水などの心停止では、血液中の酸素の枯渇が必発であるため人工呼吸が必要である。

引用元:ウィキペディア: 心肺蘇生法

教訓:救急車を呼ぶときはスピーカーフォンにできる電話を使うのが必須です。心停止の場合は、人工呼吸は不要で、ハンズオンリーCPR(胸骨圧迫)だけでも良いそうです。

3. 救急車の到着・救急病院への移動

そうこうしているうちに救急車が到着し、主人をソファーから床へ移動し、胸骨圧迫やAEDを行ったようでしたが、その間私はすっかり安心して、主人の保険証、身分証明書、いつも飲んでいる薬から始まり、主人の靴、ジーンズ、Tシャツや下着、靴下等の着替えを黙々と用意したり、外出できる服装に着替えたりしていて実際に何がなされていたかは見ていませんでした。尚、当日帰れるわけもなく主人の靴、ジーンズ、Tシャツ等の着替えは全く不要でした。

その後救急車で救急病院へと移動しました。私も一緒に乗って行ってもいいか聞いたところ、実は救急車は2台来ていたため、主人が乗ったのとは別の救急車に乗せてもらいました。こちらはサイレンを鳴らさずに走行したため、主人よりもかなり遅れての到着となりました。

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