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グリーンカードの申請手続き・申請書類について~婚姻によるAdjustment of Statusの場合 

私がアメリカ永住権(グリーンカード)を申請したのはかれこれ10年以上前なので、今更という気もしますが、私が申請したときに疑問に思って調べたこと、申請書類の作成にあたって気を付けたことを中心にちょこっと書き出してみました。情報が今でもあてはまるか確認しながら書きました。少しでも、申請準備中の方の参考になれば幸いです。タイムラインとインタビューについても追記しました。

1. 婚姻によるグリーンカード申請の概論

婚姻によるグリーンカード申請と一口に言っても、結婚前(婚約中)なのか結婚済みか、既婚の場合はどこに住んでいるのかによって申請方法が異なるので、まずは概論から説明します。

結婚前(婚約中)で移民配偶者が海外の場合は、最初の一歩はK-1ビザ(婚約者ビザ)を申請することになります。ビザ取得→米国入国→結婚の後、後記のAdjustment of Status (ステータスの調整)の流れになります。

既婚の場合は(1)アメリカ市民配偶者、移民配偶者ともにアメリカにいる場合はAdjustment of Status(ステータスの調整)という手続きを、(2) アメリカ市民配偶者、移民配偶者ともに国外にいる場合はDirect Consular Filing(直接領事出願)という手続きを、(3)アメリカ市民配偶者がアメリカ国内に、移民配偶者が国外にいる場合は配偶者ビザ(CR-1/CR-1 またはK-3 ビザ)を申請することになります。

本記事では、私がとった(1)のAdjustment of Status (ステータスの調整) の説明が中心となりますが、ビザ申請一般論もあるので他の場合にも役に立つ情報もあると思います。

2.  グリーンカード申請の前に考えること

2.1 自力で申請するか弁護士を使うか

私は弁護士を使わずに自力で申請をしました。インターネットでのサーチから始めたのですが、「visajourney.com」というサイトに運よくたどり着いたのをきっかけに自力でできるという自信を持つことができました。

なので、弁護士が必要かどうかを判断する前に、まずは 「visajourney.com」 を熟読することをお勧めします。そのうえで、visajourney.comで紹介されている申請用のフォームや手順が理解できるか、疑問があったときに visajourney.com内に設けられているフォーラムまたは移民法関連の掲示板に英語で質問できそうかを基準に判断するといいのではないかと思います。

visajourney.comのサイトでじっくり目を通してほしいのは、「 US Immigration & Visa Guides 」の該当部分、および「US Immigration Forums」で該当するフォーラムです。例えばAdjustment of Statusの場合の該当部分および該当フォーラムは、「Step-by-Step Guide on Filing an I-130 for a Spouse Inside the US」および「Adjustment of Status from Work, Student, & Tourist Visasフォーラム」になります。(もちろんvisajourney.comにはK-1ビザ、直接領事出願、CR-1/CR-1 またはK-3 ビザに関する情報も満載です)

尚、言わずもがなですが、オーバーステイ(不法滞在)をしている、犯罪歴がある等の特殊な事情がある場合には弁護士を通した方が良いと思います。また、配偶者のアメリカ市民が再婚で、前婚のときにもグリーンカードを申請していた場合なども弁護士に相談した方がよいかなと思います(前婚が離婚なのか死別なのか、その他諸事情によっても変わってくるかもしれませんが)。

2.2 申請するタイミング

移民配偶者が国外にいる場合は、当然ながらアメリカに来ることが決まった時点でビザを申請することになります。

移民配偶者がアメリカ国内にいる場合については、いつビザステータスの調整をするかは移民配偶者が保有中のビザの種類や市民権を取る意思の有無等の個人事情によって変わってきます。

まず、非移民ビザには、学生ビザ(F-1ビザ等)をはじめとした非移民の意思のみを持つことを前提とするビザと、労働ビザ(H-1b、L-1、O-1ビザ等)のように非移民の意思と移民の意思の両方の意思(Dual Intent)を持つことが許されるビザがあります。

非移民の意思のみを持つことを前提とするビザの場合、アメリカ市民との結婚によって移民の意思ありとみなされる可能性があるので、婚姻後に海外旅行に行ってアメリカに再入国する際のトラブルを避けるためにも、結婚後早めにステータスの調整をした方がよいようです。

非移民の意思と移民の意思の両方を持つことが許されるビザの場合、 ステータスの調整をしてグリーンカードを取得しておくと転職の際のビザのスポンサー変更にまつわる事務処理が避けられるという利点があるので、転職を考えている場合にはやはり早めにステータス調整をした方が良いと思います。

ちなみに私の場合は労働ビザ(H-1bビザ)ステータスからの調整だったのですが、転職をする予定もなかったので、ぎりぎりまで(レイオフされそうな機運が高まるまで)ステータス変更の申請をせずにあえて労働ビザのままでいました。これによる最大の利点は、2年ものの条件付きグリーンカード(Conditional Green Card)の申請をスキップして、最初から10年のカードを申請・取得できたということにあります。ということで、私は条件削除(2年もの→10年ものへの変更)のための手間・費用を浮かせることができたので、申請を遅らせたのは良い選択だったと思います。

婚姻ベースのグリーンカードの場合は3年たつと市民権の申請資格ができるので、早く市民権を取りたい場合は、 いわずもがなですが結婚したらすぐにでもグリーンカードを申請することになると思います。

3. Adjustment of Status申請に必要な書類

3.1 visajourney.comに載っている説明

詳細はVisajourney.com内の、 Step-by-Step Guide on Filing an I-130 for a Spouse Inside the US」 に譲ります(というか、上記のリンク先にすべて説明されています)が、申請に最低限必要なフォームは以下の通りです。

  • I-130:Petition for Alien Relative
  • I-130A:Supplemental Information for Spouse Beneficiary [I-130パッケージに添付] 
  • I-864:Affidavit of Support [I-485パッケージに添付]
  • I-485:Application to Register Permanent Residence or Adjust Status
  • I-693:Medical Examination of Aliens Seeking Adjustment of Status[医師に記入してもらったのち、I-485パッケージに添付]
  • I-765 :Application for Employment Authorization (optional)  
  • I-131:Application for Travel Document (optional) 
  • G-1145:E-Notification of Application/Petition Acceptance (optional)

私はI-131は申請しなかったので、(1)I-130パッケージ、(2)I-485 パッケージ、(3)I-765パッケージの三つに分けてそれぞれに添付書類の一覧を書きだしたカバーレターをつけました。また、(1)~(3)を送る旨を記した総括カバーレターもつけたので合計でカバーレターを4枚作りました。

I-765 自体にも添付書類があるので私はあえてI-765パッケージとして独立させましたが、Visajourney.comでの説明だとI-130パッケージとI-485パッケージの二つに分ける(I-765とI-131はI-485パッケージに含める)形で説明されているので、そちらの方が一般的かもしれません。  

3.2 USCISのサイトに載っている説明

Visajourney.com内にも各種フォームへのリンクがありますが、念のためUS Citizenship and Immigration Services (USCIS)の公式サイトから最新のフォームをダウンロードすることをお勧めします。ということで、USCISサイト内では、まずは以下のページを見てください。

また、提出書類を整理する際にはUSCISサイト内のこのページも熟読してください。→ Form Filing Tips

4. 私が疑問に思ったこと

申請書類の準備を進めているうちに私が疑問に思ってサーチをしたのは以下の点でした。

4.1 原紙を提出すべき?コピーでも大丈夫?

以下にある通り、USCISに提出する目的で作成された文書(医師が記入したI-693や、原文が外国語の場合の翻訳文等)は原紙の提出が必要ですが、それ以外(Birth Certificate、Marriage Certificate、戸籍謄本等)はコピーで可です。但し原本の提示を要求される可能性があるので手元に原本を持っている必要があります。

Submission of Supporting Documents – Original vs. Photocopy – If a supporting document is prepared by the issuing authority solely for the purpose of presentation to USCIS, an applicant or petitioner must submit the original document with the application or petition.

(中略)

For all other documents, the applicant may submit a photocopy of the document required; however, he or she may be required to present the original: 
  ・in person, upon the request of a USCIS or consular official during an interview, or
  ・by mail, in response to a written request from USCIS.

(出典: How Do I Know If I Need Original Documents?

私のときも戸籍謄本はコピーを提出したのですが、インタビューのときには審査官に「戸籍謄本の原紙を見せて」と言われて手渡しました。尚、手渡した戸籍謄本の原紙は、審査官がその場で眺めた後に直ぐに返してくれました。

4.2 翻訳はプロに頼むべき?公証は必要?

掲示板等でも繰り返し見かけるトピックですが、結論としてプロに頼む必要はないようです。 必要なのは、翻訳をした人が「原本で使われている外国語と英語の両方に堪能であり、翻訳文が完全で正確である」ということをcertifyして署名することになります。 また、公証(Notarize)までは求められていないようです。

All documents submitted in support of an application or petition must include complete translation into English. In addition, there must be a certification from the translator indicating that the translation is complete and accurate and attesting to his or her competence as a translator.

(出典:Foreign Language Documents and Translations

visajourney.comを利用している人の中には、自分で翻訳している人が結構いるようです。例えば以下は visajourney.com利用者の体験談 が載っているスレッドの一例です。

私もその例にならい、自分で翻訳・署名しました。その際には以下のフォーマットのCertificationを使いました。申請当時は、以下の文言がそのままUSCISのサイトに載っていたと記憶しているので、以下のような文言を使った人が多かったと思います (今は以下の文言がUSCISサイト内に見つからないので、以下の文言を使わないといけないというわけではありません)。

Certification by Translator

I [typed name], certify that I am fluent (conversant) in the English and languages, and that the above/attached document is an accurate translation of the document attached entitled ____________________.

Signature_________________________________

Date

Typed Name
Address

尚、移民弁護士の中でも自分で翻訳してOKという人もいれば、翻訳は第三者(申請に無関係な人)が訳すべきという意見の人もいるようです。なので、心配な方はプロの翻訳家または友人や家族の中に日本語と英語のバイリンガルの人がいたらそういった人に頼んだ方が無難かもしれません。

以下、誰が翻訳すべきかという点に関して、avvo.comで無料相談に応じている移民弁護士からの回答が含まれているスレッドの一例です:

  • https://www.avvo.com/legal-answers/uscis-document-translators–4016226.html
  • https://www.avvo.com/legal-answers/can-i-translate-documents-by-myself-for-uscis–3191958.html
  • https://www.avvo.com/legal-answers/can-i-translate-and-certify-the-translation-of-my–2593569.html
  • https://www.avvo.com/legal-answers/can-i-translate-the-document-myself–1213344.html

4.3  Affidavit of Support に添付する「 Federal Income Tax Return Information」はTurbo Taxで作成した書類のプリントアウトでいいの?

Form I 864のインストラクションでは、 IRS Transcript(Tax Transcript)、またはFederal individual income tax returns のどちらかを添付するようにとの指示があります。

Turbo Taxで作成した書類のプリントアウトはFederal individual income tax returnsにあたるので、利用して問題ないようです。但し Form I 864のインストラクション によると、Federal individual income tax returnsを添付する場合は該当年のForm W-2およびForm 1099も併せて送付することが求められているので、忘れずにそれらも添付してください。

といいつつ、 income tax returnsのコピーは簡単に改ざんができてしまうので、Tax Transcriptの方が好まれるそうです。(参照:What tax documents are best to submit with Form I-864, and where do I get them?

Tax Transcriptは、現在はオンラインまたは郵送で請求できます。オンラインで請求した場合は即時ダウンロード可なので結構ラクチンです。(私の時は、Faxまたは郵送での請求で、受け取りまで2週間かかりました)。請求の仕方は以下のページに説明がでています。→ https://www.irs.gov/individuals/get-transcript

5. グリーンカード申請から承認までにかかった時間

5.1  visajourney.comにあるデータベース・統計

申請後は、バイオメトリクスはいつになるんだろう、インタビューは何か月後くらいなんだろうと気になると思います。visajourney.com内には、ユーザーの申請時のタイムラインがデータベースになっていて参考になります。

全体の目次はこちら→ Visa Journey: US Visa & USCIS Immigration Timelines (K1, IR1 Visas, EAD, AOS, etc…)

Adjustment of Statusの場合 はこちら→ Visa Journey: AOS (Greencard) Timelines

5.2(参考)私の場合

古くてあまり参考にならないかもしれませんが、私の時は以下のタイムラインでした(上記の visajourney.com にも入力済みです)。

Adjustment of Status Employment Authorization Document
書類提出12/17/2008同左
NOA受領12/24/2008同左
バイオメトリクス1/20/2009同左
インタビュー4/6/2009
承認4/8/20092/28/2009
カード受取4/18/20093/5/2009

6. インタビュー内容

6.1  visajourney.comのユーザー情報

上記のタイムラインのユーザー情報のテーブルで、ユーザー名をクリックするとそのユーザーの「Immigration Timeline」へのリンクがあります。ユーザーによってはインタビュー時の記録を残しているので、最近承認されたユーザーの Immigration Timeline を見ていくと最近の傾向の参考になるかもしれません。

6.2 (参考)私の場合

ちなみに、以下が私のインタビューを受けた数日後(まだ記憶が新しい時)にVisajourney.comの私のImmigration Timelineに書き込んだインタビュー内容の記録です。

(出所:https://www.visajourney.com/timeline/profile.php?id=58381)

追記すると、質問5では日本の戸籍謄本の原本を提示しました(前述の通り、郵送したのはコピーだったので)。質問11については、インタビューに備えて50枚ほど写真をプリントアウトしたアルバムを持参したのでそのアルバムを提示しました。数ページをぱらぱらっとめくった後アルバムを返され、好きな写真を1枚選んで提出するよう言われました。