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ジム・クレイマー氏に学ぶ:株式投資の基本(2)~長期投資のためのルール (CNBC “Mad Money w/Jim Cramer”より)

今回はCNBCの人気番組「Mad Money w/Jim Cramer」のエピソード内、保存版エピソードの一つを紹介します。今回は「長期投資のためのルール」について放送された時のものです。何度か再放送されていますが、直近で放送されたのは2019年11月27日です。

1. エピソードの概要

CNBCで平日に放送中のクレイマー氏のワンマンショー「Mad Money」では、その日の株価の動きについては触れずに、投資の基本のみに焦点をあてたエピソードを放送する日が年に何度かあります。クレイマー氏の投資理論の基本を振り返る良い機会を与えてくれる保存版ともいえる放送です。

今回はそのような保存版の放送回の一つ、「Rules for Investing」の回の内容をかいつまんで解説します。直近で放送されたのは2019年11月27日ですが、2017年12月22日、2018年4月3日等にも放送されました。音声だけでよければ、本エピソードを最初から最後までPodcastで聴くことができます。また一部ですが、ビデオクリップおよび英文のトランスクリプトが掲載されてるCNBCサイトのページについてもわかる範囲で以下に紹介しました。

ちなみに、今回の内容はクレイマー氏の40年以上に渡る経験に基づく投資のルールと説明されています。本エピソードでは、クレイマー氏の著書のうち、Jim Cramer’s Real Money(邦訳:ジム・クレイマーの株式投資大作戦)の 「Chapter 6: Stock-Picking Pules to Live By」内の「Twenty-Five Investment Rules to Live By」(邦訳版では、「第6章:銘柄選択のための黄金のルール」内の「長期投資のための25のルール」)というセクションの一部が紹介されています。

2. 長期投資のためのルール

ルール1:ブルもベアもそれなりに成功するが、「ピッグ」は身を滅ぼす(Bulls make money, bears make money, and pigs get slaughtered)

このルールは実はMad Moneyのエピソードでは割と毎回耳にします。「ピッグ」というのは欲深い人のことを指すようです(英語に”as greedy as a pig”という言い回しがあります)。

ブル・マーケット(上げ相場:Bull Market)であっても、ベア・マーケット(下げ相場:Bear Market)であっても利益を得ることができます。

ただし、いわずもがなですが、株価は永遠に上昇を続ける、または下落を続けるということはなく、上昇・下落を繰り返しています。なので、例えば、現物株式売買の場合で株価が高値を更新している局面において、もっともっと価格が上昇してから売った方が利益が増えると欲を出して、全く利益確定をしない(=含み益のある銘柄を全く売らない)という行動をとらないように警告するためにこのフレーズを番組の中でいつも叫んでいるそうです。

同様に、ブルマーケットで、利益を上げる方法として空売り(Short Selling:実際には持っていない銘柄を先に売って、後日その銘柄を買う方法です)がありますが、欲を出してあまりにアグレッシブに空売りをすることのないようにと警告しているそうです。

このルールの主眼は、株価が予想と反対の方向に動いたときの損失の度合いを低く抑えることにあります。これによって投資の世界で生き残っていくことが可能になります。

補足:別のエピソードになりますが、自分が買った銘柄の株価が売買時の2倍になったら保有株式数の半分を売って最初の投資額をそっくり回収し、純増分で投資を続ける(言ってみれば“Playing with the house money”)方法なども紹介しています。

ルール2:税金の支払いを躊躇しないこと(It’s okay to pay the taxes)

利益確定をしない言い訳として、税金を支払いたくないからというのは愚かなことです。というのも、利益確定のタイミングを逃したために、株価が下がってそもそも利益が全くなくなってしまう可能性があるからです。

ということで、もし保有銘柄があまりにも急に値上がりして、大きく反落する可能性があると思ったときは、税金を理由に売りそびれないように注意しましょう。

参考:ルール1およびルール2に関するビデオクリップ&トランスクリプトはこちらから → Mad Money: Cramer’s top 2 investing rules for bulls, bears and everyone in between

ルール3:一度に株式を購入しないこと。一度に株式を売却しないこと(Never buy a stock all at once. Never sell a stock all at once)

特定の銘柄を買うと決めたときは、いっぺんに買うのではなく、段階的に買う方が賢明です。売却する場合についても同様のことがいえます。

理由は、株価は絶えず変動しているので、買った(または売った)次の瞬間に価格が何かの要因で急落(または急騰)するかもしれないからです。なので一日のうちでも何度かに分ける、または数日に分けて売買をすることを推奨しています。

ルール4:事業が痛んでいる銘柄ではなく、株価が痛んでいる銘柄を買うこと(Buy damaged stocks, not damaged companies)

事業が痛んでいる銘柄(Damaged Companies)とは、業績が悪い、財務状況が悪い等、それなりの理由があって株価が下がっている銘柄を指します。この場合は株価はさらに下落を続けると思われるのでこのような銘柄を買うのは避ける必要があります。

株価が痛んでいる銘柄(Damaged Stocks)とは、会社には非がないのにも関わらず、株価が下がっている銘柄を指します。この場合はいずれは他の投資家も当該銘柄が割安株だと気づくと思われるので、価格は適正レベルまで上昇していくことが期待できます。

クレイマー氏は、市場全体が低迷した時に次に何を買うか迷わないよう、お気に入りの銘柄をリストにした表を作って備えているそうです。この表のことはブルペン(Bullpen:野球の投手が投球練習に使う場所のことなので、順番が次という意味で使っていると思います)と呼んでいるそうです。

但し、実際のところ、どれがDamaged CompaniesでどれがDamaged Stocksなのかはすぐには判断できないので、このルールは上記のルール3と併せて使い、時間をかけて購入するのがよいとのことです。

参考:ルール3およびルール4に関するビデオクリップ&トランスクリプトはこちらから → Mad Money: Never buy a stock all at once — you’ll almost definitely get burned, says Jim Cramer

ルール5:ホームワークをすること(Do the Homework)

クレイマー氏は「バイ・アンド・ホームワーク」(Buy and Homeworkつまり、購入後も保有株についての情報収集を続ける)の推奨者です。

「バイ・アンド・ホームワーク」ができない人には(1)長期で投資する場合は「バイ・アンド・ホールド」(Buy and Holdつまり買った後は保有するだけでよい)でよいと信じているから、あるいは(2)ホームワークをする時間がないからという2つのグループに分かれます。(2)の場合は、自分で投資を運営せずに他の人(投資の専門家)に任せるか、S&P500の変動に連動したインデックスファンドに投資することをすすめています。

ホームワークの内容としては、買う前にコンフェレンス・コールを聞く、会社のウェブサイトを読む、リサーチレポートを読む、グーグルする等があげられています。

補足:ホームワークの結果、保有銘柄の展望が良くないと思ったら、見切りをつけて現金に換えるまたはもっと将来性のある別の会社に乗り換えていくというのが目的だと思います。これはルール9・10につながっていきます。

ルール6:分散投資、分散投資、更に分散投資すること(Diversify, Diversify and Diversify More)

リスクをコントロールするために分散投資が必要です。最大のリスクは、セクターリスクです。同じセクターに属する銘柄は同じように変動しますが、この傾向は市場の変動が激しい時には特に顕著になります。

少なくとも5セクターに投資を分散させていれば、一つのセクターが急落したとしてもモンスターロスを防ぐことができます。

クレイマー氏によると、分散投資をしていない人が多いのは、結局ホームワークの問題に行きつくそうです。つまりそもそも自分が保有している銘柄が何かを覚えていないので、結果として似たような銘柄ばかりを買ってしまうことがあるからだそうです。

補足:ここで注意したいのは5銘柄ではなくて、5セクターに分散と言っている点です。なのでたとえ5銘柄を保有していてもすべてが同じセクター(例えば全てテクノロジー業界、またはすべてが金融業界)に属する銘柄の場合は、十分に分散ができているとはいえません。

ルール7:パニックは一文の得にもならない(Nobody Ever Made a Dime by Panicking)

株価が下がったからといってパニック売りをしないことが重要です。あとで必ず売るのに適したタイミングがあります。

他の人が売っているから自分も売るというのがパニック売りの典型例です。次にフラッシュクラッシュのようなことが起こった場合には、感情とは反対の行動(株式を売るのではなく買う)をとることを勧めています。ただその場合には、マーケットオーダー(その時の市場価格で売る)ではなく、リミットオーダー(株価がいくらになったら売るのか自分で価格を決めておく)で買うことを心がけてください。また、売る場合には、パニック時ではなくリバウンドのタイミングを待って売りましょう。

ルール8:全てを守ろうとするものはすべてを失う(He Who Defends Everything Defends Nothing )

自分の保有銘柄をどう評価しているかということにつながります。

クレイマー氏は、保有銘柄およびまだ保有していないけれども気になる銘柄に以下のようなランクをつけて整理しているそうです。

  • ランク1銘柄:今の株価ですぐにも買い増したい銘柄
  • ランク2銘柄:もし株価が下がれば買い増したい銘柄
  • ランク3銘柄:もし株価が上がれば売りたい銘柄
  • ランク4銘柄:今の株価ですぐにも売りたい銘柄

このランキングシステムを利用することにより、どの銘柄を防衛していくべきかとっさに判断できるようになります。

参考:ルール7およびルール8に関するビデオクリップ&トランスクリプトはこちらから → Mad Money: Cramer: I helped investors through the 2010 flash crash by following one key rule

ルール9:あまりたくさんの銘柄を保有しないこと(Don’t Own Too Many Stocks)

クレイマー氏の経験によると、保有銘柄の数が少ないほど利益が出るそうです。なので、クレイマー氏は別の銘柄を買う前に、手持ちの銘柄を売って銘柄数が増えすぎないように注意しているとのことです。

個人で保有する場合は、最大でも10銘柄までにしておくことを推奨しています。

補足:ただし少なすぎるのもよくないので、分散投資のルールともバランスをとりながらどの銘柄を持つのか決めてください。

ルール10:勝者はキャッシュを保有する(Cash is for winners)

魅力的に思える銘柄や買いたい銘柄がない場合や、今後株式市場の下落が予想されるときなどには、無理に株式を買わずに、現金のままで持っていくのも戦略の一つとなります。

参考:ルール9およびルール10に関するビデオクリップ&トランスクリプトはこちらから → Mad Money: Owning too many stocks and not enough cash can set you up for failure: Cramer

3. 視聴者との質疑応答からみるクレイマー氏推奨の投資戦略

本エピソードに限らず、Mad Money放送中、随所随所で視聴者からの電話での質問に答えています。本エピソードでも途中で視聴者からの質問が何度か入りました。

以下、重要と思ったものを順不同、箇条書きで紹介します。

  • とりあえず最初の$10,000は、個別の株ではなく、インデックスファンドに投資すること。それ以降は個別株式を買い始めて良い。
    • 最初の$10,000に投資する最大のお勧め先は、S&P 500と連動するインデックスファンド。
    • S&P 500以外のインデックスファンドとしては、VanguardのTotal Return Fund of all fundがクレイマー氏のお気に入りのインデックスファンド。
    • とにかく最初はお金を貯めるということが重要なので、$10,000貯まる前にインデックスファンド以外に投資してもいいが、その場合は投資先の危険性を十分に理解する必要がある。
  • 配当が出たら再投資をする。
  • 個別株式をの銘柄は最大10銘柄までにとどめること。
  • 債券(ボンド)は50代の後半までは不要。その代わりに高い配当を払う株式を買うのがお勧め。
    • 補足:別の保存版エピソード(例えば2019年12月31放送分)では、「リタイアメントファンドの場合は30代の場合はポートフォリオの内の10~20%、40代の場合は20~30%、50代の場合は30~40%、60代の場合は40~50%をボンドに入れるように」と言っています。この考え方は2019年の放送でも何度か聞いたことがあるので、最近は30代から徐々にボンドを組み入れるという考え方になっていると思います。
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