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アメリカでの仮想通貨に対するる税金について(実践編)

TurboTaxを使った場合の仮想通貨に関する税金申告の仕方についてまとめてみました。手動入力、CSVファイルのアップロードの2つのやり方がありますが両方について説明を加えました。

1. 基礎知識

1.1 From 1099について

コインベース等の仮想通貨を利用して売買した場合であっても、株式等の売買の時のようなForm 1099-Bは仮想通貨取引所から発行されないのが一般的です(注1)。これは、別の仮想通貨取引所で購入した仮想通貨を受け取ったり、外部に送金したりできることから、仮想通貨のコスト等を正確に把握することができないからだと思われます。ただし、売買記録のダウンロードが可能なことがほどんどなので、取引記録を利用して自分でキャピタルゲイン・キャピタルロス等を計算の上、該当箇所に入力していくことになります。

(注1)なお、コインベースに関しては、一定の場合に限ってFrom 1099-MISCは発行されます(参考:Coinbase Tax Resource Center

ちなみに、Robinhoodの場合は$10以上の仮想通貨取引を行った場合にはForm 1099が発行されるようです(参考:Robinhood: Crypto Taxes)。

1.2  IRSのフォームについて

TurboTaxのようなTax Softwareを利用している場合は入力したデータを自動的に正しいフォームに割り振ってくれるので知らなくても大丈夫なのですが、念のため書いておきます。

IRSのガイダンスによると売買取引等から生じるキャピタルゲイン・キャピタルロスはForm 8949とForm 1040 Schedule Dを利用することになります。

Q42. Where do I report my capital gain or loss from virtual currency?

A42. You must report most sales and other capital transactions and calculate capital gain or loss in accordance with IRS forms and instructions, including on Form 8949, Sales and Other Dispositions of Capital Assets, and then summarize capital gains and deductible capital losses on  Form 1040, Schedule D, Capital Gains and Losses.

https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/frequently-asked-questions-on-virtual-currency-transactions

お給料や物品の売買代金を仮想通貨で受け取った等の通常の収入も、アメリカドルで受け取ったときに使用するのと同じフォームの利用で問題ないようです。

Q43. Where do I report my ordinary income from virtual currency?

A43. You must report ordinary income from virtual currency on Form 1040, U.S. Individual Tax Return, Form 1040-SS, Form 1040-NR, or Form 1040, Schedule 1, Additional Income and Adjustments to Income, as applicable.

https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/frequently-asked-questions-on-virtual-currency-transactions

2. TurboTaxを使った仮想通貨の税金申告(キャピタルゲイン・ロス)

TurboTaxで仮想通貨取引のキャピタルゲイン・ロスを入力するには、CSVファイルをアップロードする方法または手動入力のどちらかが選べます。尚、TurboTaxの場合は手動入力の場合は75行まで、CSVファイルの場合は2,251行まで入力できるようです。

では、早速始めてみましょう。まずは、Federal TaxのWage & Incomeの画面から、「Cryptocurrency」を選択します。

以下、Turbotax Premierのオンラインバージョンを使った時の画面です。CD/ダウンロード版の場合は若干違うかもしれません。

以下の画面になったところで、手動入力にするかCSVファイルのアップロードにするかが選べます。

2.1 CSVファイルのアップロードの場合

CSVファイルをアップロードする場合は、8つある選択肢の中から選びます。とはいえ、CoinbaseからダウンロードしたCSVファイルはうまく機能していないようなので実質的には選択肢は7つです(参考:How do I get a CSV file from Coinbase?)。なお、Robinhoodの場合はRobinhoodnoサイトからダウンロードしたCSVファイルが問題なく使えるようです。

残りの6つは仮想通貨取引所ではなく、仮想通貨の税金を計算するためのサイト(TurboTax内では「transaction aggregator」と呼んでいました) になります。こちらについては後述します。

前置きが長くなりましたが、CSVファイルをアップロードする場合には、対応するアイコンをクリックし、Continueボタンをクリックします。以下では私が利用しているBitcoin.Taxをクリックしています。

CSVファイルを選択する画面があるので、Browseボタンをクリックして、ファイルを選択してアップロードします。

Bitcoin.Taxの場合は、下記の3.2で説明したファイル中「TurboTax Online」というファイルをここでアップロードします。

ファイルのアップロードが終わると、キャピタルゲイン・ロスの一覧が表示されます。この段階では各行の削除が可能です。

確定すると以下のようになります。Serviceのコラムは「Coinbase」のような取引所ではなくて、transaction aggregator名(ここではBitcon.Tax)が記載されています。日付や数量・金額等は後で編集可能ですが、このService欄は編集できないようです。

2.2 手動入力の場合 

手動入力の場合は、右下の「I’ll type it in myself」をクリックします。

入力項目は以下にあるように、Service(コインベース等取引を行った仮想通貨取引所)、Asset Name(ビットコイン等、仮想通貨の種類)、Date of Purchase (購入した日)、Cost Basis(購入した時の金額)、Date of Sales(売却した時の金額)、Proceeds(売却した時の金額)になります。

3. 仮想通貨関連のキャピタルゲイン・ロスを計算するためのサイト(transaction aggregator)~Bitcoin.Taxがお勧めの理由

前述のとおり、私はBitcoin.Taxを利用しています。これは遡ること2018年、初めて仮想通貨に関する税金申告をした際に3社(Bitcoin.Tax、CryptoTrader.TaxおよびTurbotaxではサポートされていませんがCointracking.info)のサイトを比較して決めました。

Coinbaseは今のところCoinTrackerの利用を推奨しているようなので、今回試してみましたが個人的にはBitcoin.Taxの方が使いやすいと思うので今年も継続してBitcoin.Taxを使いました。以下、Bitcoin.Taxの魅力です。

3.1 値段が安い

他のサイトと比べて値段がダントツに安いです。例えば2020年1,000取引までのプランの価格はBitcoin.taxだと$39.95、Coinbaseお薦めのCoinTrackerは$199となります。尚、どちらも無料プランがあるので取引数が少ない場合はどちらも無料で利用できます。

<Bitcoin.Tax>

CoinTracker.io

3.2 年初の残高を入力可

Bitcoin.Taxでは年初の残高(Opening Balance)は、前年末の残高をそのままインポートするか、CSVファイルのアップロードまたは手動で新規にインプットするかを選べます。なので、長年、仮想通貨の取引を行っていて途中で残高の計算が合わなくなったという人でも、新たな気持ちで仕切り直して税金の計算ができます。

Cointracker.ioを含む他サイトでは、過去に遡って全ての仮想通貨の取引記録をアップロードさせるところが多いようです。

3.3 無料のお試しバージョンでもTurboTaxへのアップロードに使えるファイルのダウンロードが可

サイトによっては、取引記録を入力するとキャピタルゲイン・ロスがあったかどうかの損益の計算まではしてくれるものの、無料バージョンだとダウンロードができないものもあります。

Bitcoin.taxの場合は、無料バージョンでも有償バージョン同様、以下のファイルをダウンロード可能です。なので、取引数が少ない人の場合は無料バージョンでも間に合います。

  • CSV
  • TurboTax Online 
  • TaxACT
  • TXF File for TurboTax (Desktop)
  • Form 8949 PDF
  • Form 8949 Statement

3.4 取引のデータの入力が簡単

たぶんどのサイトを利用しても同じだとは思いますが、取引記録のBitCoin.Taxへの入力法としては、API Sync、CSVファイルのアップロード、手動入力があります。

私はAPI Syncには抵抗があるので、取引記録をCSVファイルの形で仮想通貨取引所(私の場合はCoinbaseおよびCoinbase Pro)からダウンロードして編集し、アップロードする方法が一番やりやすいと思っています。また、データが少ないときは手動入手の方がかえって早いと思います。

Bitcoin.Taxの場合、CSVファイルのアップロードに際しては仮想通貨自体の売買記録である「Trading」、Rewardやステーキングとして受け取ったときの記録する「Income」、および仮想通貨を利用して支払いをした時の記録の「Spending」の別々に分けてCSVファイルをアップロードするやり方を取っています。賛否両論があると思いますが、私はこのやり方だと、どのデータをアップロードしているのか自分で理解しながらできるので気に入っています。

ちなみに、CoinbaseおよびCoinbase Pro等の仮想通貨取引所からダウンロードしたCSVデータはそのままでは使えず、Bitcoin.Taxの指定する順に列を下記のように並び替える必要があります。

<インストラクション(Tradingの場合)>

<アップロード用のCSVファイルの例>

上記の例では、1行目は5.99877DAIをCoinase Proで売却して$5.99862を受け取り、その時に$0.030144が手数料としてかかったことを示しています。

<Coinbase ProからダウンロードしたCSVファイル>

ちなみに、上記がCoinbase Proからダウンロードしたばかりの状態です。最初はこの状態だったのを、1行目をインストラクションにそった言い回しに変更、A列とB列を削除、E列を一番左に移動、等いろいろ変更してからアップロードします。

参考:Cointracker.ioでもCSVファイルのアップロードが簡単かどうか試そうと思ったのですが、ものすごく面倒くさそうだったので止めました。ちなみにCointracker.ioでCSVファイルを使ってアップロードするときのファイルの編集の仕方はこちら。→ Convert any CSV into the CoinTracker CSV format このインストラクションを見つけるにも結構手間取ったので、記録に残しておきます。

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