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アメリカのIRA(個人退職口座)および401(k)(確定拠出型年金)制度についての基礎知識 (2023年版)

IRAと401(k)に関する、2023年版の情報を紹介します。どちらも将来に備えて個人で積みたてる年金で、税法上の利益があります。IRAは勤労収入のある人なら誰でも拠出可能、401(k)は勤務先に制度がないと拠出できないというのが最大の違いです。一年間に拠出できる金額も大きく違います。

では、以下でもうちょっと細かく説明します。

1.IRAについて

IRAとは、Individual Retirement Account(個人退職口座)の略です。銀行でも証券会社でも、自分の好きな金融機関に口座を開設して毎年一定額以内の金額を積み立てることができます。自分自身は働いていなくても、配偶者に勤労収入があれば夫婦二人とも各自の口座に積み立てができます。

2023年の場合、50歳未満の人は6,500ドル、50歳以上の人は7,500ドル(6,500ドルプラス、1,000ドルのCatch-up Contribution)を、2023年1月1日~2023年のTax Returnの締め切り日にあたる2024年4月15日の期間内に積み立てることができます。

2022年分については、 上限は50歳未満の人は6,000ドル、50歳以上の人は7,000ドル(6,000ドルプラス、1,000ドルのCatch-up Contribution)となっています。締め切り日は 2022年のTax Returnの締め切り日にあたる2023年4月17日です。 なので、2022年内に積み立てなかった人も今からでも間に合います。

拠出したお金をどのように運営するかも全く自由です。なので、CD(定期預金)、株式、ETF、ミューチュアルファンド他、なんでもOKです。

(参考:IRS: Retirement Topics – IRA Contribution Limits)

2.401(k)について

401(k)は、正式にはDefined Contribution Plan(確定拠出型プラン)ですが、Internal Revenue Code (内国歳入法)の401(k)条に規定があることからこのように呼ばれています。 2023年の場合は、 上限は50歳未満の人は22,500ドル、50歳以上の人は30,000ドル(22,500ドルプラス、7,500ドルのCatch-up Contribution)です(注1) 。2022年と比較すると2,000ドル(Catch-up Contributionも1,000ドル増加したので、50歳以上の人は合計で3,000ドル)の増加となりました。雇用主が指定した証券会社しか利用できず、投資オプションも予めセレクトされた中からしか選べません。

(参考:IRS: Retirement Topics – 401(k) and Profit-Sharing Plan Contribution Limits

(注1)「Highly-Compensated Employees」に該当する場合は、一旦401(k)に算入されますが、翌年一部が返金されてしまう可能性があります(例:2023年に一旦上限の22,500ドルまたは30,000ドルを拠出できますが、翌年2024年に一部が返金されてしまうかもしれないという可能性です)。後述のRoth 401(k)の場合はお金を受け取って終わりですが、Pre-Tax 401(k)の場合は返金された分は返金を受けた年(上記の例では2024年)の収入になってしまいます。該当する場合は勤務先から連絡がくるので特に知っている必要はないのですが、興味のある方はこちらをご覧ください。→ Issue Snapshot – Identifying Highly Compensated Employees in an Initial or Short Plan Year

尚、ここでの説明は省きますが、類似の制度に403(b)Plan (学校や病院など、非営利団体向け)、457(b)Plan(政府職員向け)などがあります。また、自営業の人はSelf-employed 401(k)(Solo 401(k))という制度を活用することもできます。

401(k)で何に投資したらいいか迷っている方は以下の記事を参考にしてみてください。

アメリカでミューチュアル・ファンドに投資する際の情報収集法、決め方について簡単にまとめました。また、401(k)で何に投資したらいいかについてもアドバイスしてみました。

3.IRAと401(k)、どちらに優先的に拠出するか

勤務先に401(k)の制度がある場合には、401(k)とIRAと両方に拠出することが可能です。金銭的に余裕がある場合には、両方に拠出しておくと老後資金の充実という面では安心ですが、無理な場合には、以下の点を考慮しつつ、優先順位を決めるといいと思います。

  • 401(k)に拠出した場合、雇用主からのMatchingがあるか → ある場合は、最低でもMatchingがもらえる分までは401(k)に拠出しましょう。
  • 401(k)に拠出した場合、IRAがPre-Tax扱いになるか → 職場で401(k)または他のRetirement Planに本人または配偶者が加入している場合、年収の金額によってはTraditional IRAが全額または一定の限度でAfter Tax扱いになることがあります。この場合はまず401(k)を優先し、満額をいれてもまだ余力があるようだったらIRAにもAfter Taxで入れるかどうか決めるとよいでしょう。
  • 401(k)の口座維持料等の手数料を雇用主が支払ってくれるのか → 401(k)の残高に応じて、Plan Administration feeなどがかかることがあります。IRAはMaintenance Fee等が無料のところが大半なので、401(k)の口座維持料が自己負担の場合は、当然ながらIRAを優先したほうが良いと思います。

4.Traditional IRA/Pre-Tax 401(k)とRoth IRA/Roth 401(k)

IRAと401(k)をさらに分類すると、どちらもTraditional(Pre-Tax)とRothがあります。

401(k)の場合は例外なく、Pre-Taxの場合は税引き前(Before Tax)のお金が 、Rothの場合は税引き後(After Tax)のお金が積み立てられます。Roth 401(k)の場合は所得制限がありませんが、職場で提供されている401(k)プランの中にRoth 401(k) がオプションとして含まれているときしか使えません(勤務先によっては Pre-Tax 401(k) しか利用できない場合があります)。

IRAの場合は、Traditional IRAは原則としてはBefore Taxとして扱われますが例外的にAfter Tax扱いとなる場合があります(注2)。Roth IRAは例外なくAfter Taxのお金が積み立てられますが、 Roth 401(k) と違い所得制限があります(注3)。従って、規定額以上の所得がある場合にはTraditional IRAしか使えません (注4)。

(注2) 既婚者がTraditional IRAへの拠出した場合にちょっと複雑になります。まず、夫婦ともに職場にリタイアメントプランがなくTraditional IRAへの拠出のみを行っている場合は、原則通り収入額に関係なく全額がPre-Taxとなります。しかし、夫婦のどちらか片方でも401(k)を含む職場でのリタイアメントプランでカバーされている場合で、かつ職場のリタイアメントプランに加えてTraditional IRAも併わせて利用した場合には、modified AGI額によってはTraditional IRAが After Tax扱いとなって所得税が延期されない場合がでてきます。金額等の詳細は以下のサイトをご覧ください。
IRS: 2023 IRA Contribution and Deduction Limits Effect of Modified AGI on Deductible Contributions If You ARE Covered by a Retirement Plan at Workおよび
・   IRS: 2023 IRA Contribution and Deduction Limits Effect of Modified AGI on Deductible Contributions if You are NOT Covered by a Retirement Plan at Work

(注3) 例えば、2023年の場合Roth IRAを満額まで拠出できるのはmodified AGI がmarried filing jointly $218,000未満/single $138,000未満の場合のみ、Roth IRAを全く拠出できないのは modified AGI がmarried filing jointly $228,000以上/single $153,000以上の場合、そしてその中間の場合はRoth IRAに一部のみ拠出可となります。(参考:IRS: Amount of Roth IRA Contributions That You Can Make for 2023

(注4)一旦Traditional IRAに入れたうえで、Roth IRAにコンバートするという手法をとれば、所得のレベルに関係なくRoth IRAに拠出できることになります。詳細については以下の記事にまとめたので、興味のある方は以下も参考にしてください

Roth IRAに直接お金を入れられないけれども、Traditional IRAではなくRoth IRAで資産を増やしたい人のための裏技、「Roth Conversion」(またの名をBack Door IRA)について説明します。2019年の情報に更新済です。

Before taxとして扱われる場合は、拠出年の所得としてはカウントせず(所得から控除されるので、該当年の所得税がその分安くなります)、お金を口座から引き出した年の所得としてカウントします(元本、利息、キャピタルゲイン等で増えた分すべてが所得税の対象となります)。つまり、税金の支払いが将来に延期されます。

After taxとして扱われる場合は、IRAや401(k)に拠出した年は勤労収入があった年の収入としてカウントされるので所得税を支払い後のお金を入れたことになります。お金を引き出した年の税金の取り扱いは、Roth IRAやRoth 401(k)の場合は元本、利息、キャピタルゲイン全てが無税です。Traditional IRAの場合は、After-Taxの部分の元本(所得があった年に税法の支払いをした部分)についてはRothと同様に無税になりますが、利子やキャピタルゲインとして増えた分は税金の対象になります。

Traditional IRAとRoth IRAのどちらを利用したらいいかについては、以下の記事で検討しました。

今回はTraditional IRAとRoth IRAのどちらを利用すべきかについて検討します。結論から言うと現在の年齢(定年まで何年残っているか)、収入レベル、401(k)も併用しているかどうか、将来的に日本に完全帰国する予定でいるか、そのタイミングはどれくらい先か等、様々な要因が関連しているので、「人による」ということになりますが、何を判断材料として決めていったらいいかについて書いていきたいと思います。

Pre-Tax 401(k)とRoth 401(k)のどちらを利用したらいいかについてもいずれ記事を投稿したいと思っています。

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