この度、飛行機での旅行の際に便利なグローバルエントリーを取得しました。ものすごく旅行をするというわけではないので、私には関係のないプログラムだとずっと思っていたのですが、今年からクレジットカードの特典にグローバルエントリーの費用のリファンドが加わったので、無料でもらえるのならということで取得しました。
1. そもそもグローバルエントリーとは何?そのメリットは?
米国国土安全保障省のサイトでは、グローバルエントリーは「米国に到着した際に、事前承認された低リスクの旅行者のための迅速な通関を許可する関税および国境保護(CBP)のプログラム」と説明されています。
グローバルエントリーの承認を得られた場合、つまり低リスクの旅行者として認められた場合には、2つのメリットがあります。 一つ目はグローバルエントリー独自のメリット、もう一つはTSA Pre✓(TSAプリチェック)という別のプログラムの恩恵が無料で受けられるというメリットです。後者は、グローバルエントリーに承認されると同時に、無料でTSAプリチェックに参加できるということに起因します。
1.1 グローバルエントリー独自のメリット
グローバルエントリー独自のメリットとは、米国入国時の入国審査にかかる時間の短縮です。例えば、グロバルエントリーの取得者は、国際線でアメリカに到着後、入国審査の際に一般の旅行者とは別の入国レーン(当然、他と比べて少人数)を使用することができます。そこで、グローバルエントリー専用のキオスクを利用するのですが、キオスクにてパスポート(アメリカ市民の場合)またはグリーンカードをスキャンし、続いて指紋照合した後、税関申告の質問に答えます。キオスクでは手続き完了を示すレシートが発行され、そのまま手荷物受取所及び出口に進むよう案内されます。入国審査官のブースはありません。
私がいつも使用する空港はJFKなのですが、一般の旅行者のレーンでもキオスクが導入されています(そのため、紙ベースの税関申告書を前もって記入する必要はなくなりました)。一般旅行者のレーンで、旅行者はパスポートおよびグリーンカードのスキャン、指紋照合、顔写真の撮影、税関申告をキオスクでやってレシートを発行してもらいます。入国審査官のブースでも、レシート、パスポート、グリーンカードを見せてすぐ返してもらうだけで最近は特に質問等もないことが多かった気がします(アメリカでの生活が長くなったせいかもしれません)。ただ、キオスクまでたどり着くまでの列、そしてキオスクでレシートを受け取ってから入国審査官にたどり着くまでの時間がすごくかかるので、専用レーンがあるというのは大きな時間短縮になりそうです。
尚、晴れてグローバルエントリーへの参加が承認された場合の入国の仕方については、以下の記事を参考にしてください。
1.2 TSA Pre✓(TSA事前審査プログラム)のメリット
上述のように、グローバルエントリーが承認されると、TSAプリチェックに自動的に参加が認められます。TSAプリチェックのメリットは、出発時に空港で迅速に手続きができることにあります。これは国内線、国際線問わずあてはまります。
まず、出発時の空港の保安検査の際には、TSAプリチェックのための専用レーンがああります。この専用レーンは通常の旅行者用のレーンと比べると短きなっているので、出発時の時間短縮になります。
また、専用レーンでは、保安検査時に靴、ベルト、薄手のジャケットを脱いだり、ノートパソコンや液体物 (3-1-1 Liquid)を鞄から取り出す必要がなくなります。ちなみに「液体物 (3-1-1 Liquid)」とは、3.4オンス (100ml)以下の容器に入った1クオート(0.946リットル)の透明なブラスチックの入れ物を一人当たり一つまでという制限つきで機内に持ち込める液体のことです。個人的には、ノートパソコンを鞄に入れたままでいいというのが、うれしいです。
2. グローバルエントリーに申し込みができる人
アメリカ市民、米国永住者(グリーカードホルダー)または一部の国の国籍を有する人(*)であれば申し込みができます。
(*)グローバルエントリーの申し込みができる外国籍の規定については、こちらのリンクからサイトでご確認ください(尚、日本は含まれていません):U.S. Custom and Border Protection : International Arrangements
ただし、犯罪歴がある人は申し込み自体はできるものの、セキュリティスクリーニングで弾かれる(払い込み済みの料金の返金はなし)とのことなので、実質的には犯罪歴のない人という要件も加わります。いろいろと体験談を読んだところ、例えば過去に誤認逮捕をされた場合であっても記録には残っているので、それが誤認だったとか無罪判決が出たということが証明できる書類を持っていかないとインタビューを通らないそうです。
3. グローバルエントリー費用と有効期限
3.1 基本情報
グローバルエントリーへの申し込み料金は$100で、承認された場合5年間有効です。経験上、この5年間というのはグローバルエントリを取得した次の誕生日から丸々5年のようなので、実際には5年超有効となります。
海外旅行へは行くことはほとんどないけれどもアメリカ国内を飛行機で頻繁に飛び回るという方の場合には、TSA Pre✓を候補に入れてもいいかもしれません。この場合は$85で、グローバルエントリーと同様に5年間有効です。
3.2 グローバルエントリー/TSA Pre✓の申し込みにかかった費用を返してくれるカード一覧
アメリカ運輸保安庁(Transportation Security Administration)のサイトからの引用(2019年6月16日現在)になりますが、以下のクレジットカードであればグローバルエントリーまたはTSA Pre✓の申し込み費用をステートメントクレジットとして返金、またはクレジットカードのRewardポイントを使ってTSA Pre✓への費用にあてることができるようです。
以下のリストのうち、ほとんどのものはグローバルエントリーまたはTSA Pre✓のどちらか好きな方を選べるという形になっていましたが、一部はTSA Pre✓のみでした。
The following credit cards and loyalty programs cover the TSA Pre✓® application fee as a member benefit, provide a statement credit towards the application fee, or allow members to use rewards points to pay for the TSA Pre✓® application fee.
- Bank of America® Premium Rewards® credit card
- BB&T Spectrum Travel Rewards card
- Capital One® Spark® Miles Card
- Capital One® Venture® Card
- Certain American Express® Credit Cards
- Chase Sapphire ReserveSM
- Citi® / AAdvantage® Executive World EliteTM MasterCard®
- Citi Prestige® Card
- Club Carlson
- Diners Club® Carte Blanche® Corporate Card
- Expedia®+ Voyager Card from Citi
- HSBC Cash Rewards Mastercard® credit card
- IHG® Rewards Club
- Marriott Rewards®
- MasterCard® Black Card™
- MasterCard® Gold Card™
- Navy Federal’s Visa Signature® Flagship Rewards Card
- Orbitz Rewards®
- SunTrust Travel Rewards World Elite Mastercard® Credit Card
- PenFed Pathfinder Rewards American Express® card
- Provident World+ Travel®
- Radisson Rewards™
- UnitedSM Explorer Card
- United MileagePlus®
- US Bank Altitude Reserve Visa Infinite® Card
- US Bank FlexPerks® Gold American Express® Card
(出典:Transportation Administration Security: Credit Cards and Loyalty Programs featuring TSA Pre✓®)
3.3 私の経験(UnitedSM Explorer Card)
前述の通り、私が持っているクレジットカードの一つが、メンバー規約を更新した際に、グローバルエントリーまたはTSA Pre✓の申し込みにかかった費用をステートメントクレジットとして返してくれるという特典が加わりました。
ちなみに私が使用したのは、Chase BankのUnitedSM Explorer Cardで、このカードの場合、4年に1回、$100までという制限つきです。申し込みの際に一旦このカードで$100の支払いをし、同日付で$100がクレジットされており、返金がクレジットサイクルをまたがなかったので、実質的には全くの無料でした。
4. グローバルエントリー取得のタイムライン
結論から言うと、4週間弱でカードを受け取りました。以下、簡単なタイムラインです。
4.1 申請書類の記入(8/28/2018)
これはオンライン上で行います。Trusted Traveler Programsのサイトに登録して、グローバルエントリーとTSA Pre✓のどちらへの申し込みかを選択ののち、申請書類にいろいろと記入していきます。パスポート、グリーンカード、車の免許証(もしあれば)の情報や、住所、勤務先等を記入します。最後に申し込み料金($100)を支払って一旦終了です。
4.2 事前審査にパスした旨の通知(9/19/2018)
申請書類に記入した情報をもとに、バックグラウンド調査が行われます。だいたい2~3週間かかるようです。私の場合は申し込みから待つこと3週間後、U.S. Customs and Border Protectionより、「TTP Application Status Change」というタイトルのEメールを受け取りました。
早速、Trusted Traveler Programsのサイトにログインして確認したところ、条件つきで承認されたので、インタビューの予約をするようにとの指示がありました。承認された日から365日以内のインタビューの日を選ぶ必要があるとのことでした。
4.3 インタビューの日時を予約
ということで、Trusted Traveler Programsのサイトからインタビューの予約を入れました。インタビュー会場は各州にあるのですが、お住まいの州・都市によってはインタビューの予約がかなり先にならないと取れないようで、人によっては条件つきの承認がおりてからインタビューまでが時間が空いてしまうようです。
なるべく早くインタビューをしてもらうためには以下の3つの方法があります。
(1)キャンセルが出るのを待つ
最も現実的な方法ですが、とりあえず希望のインタビュー会場の予約を入れたうえで、キャンセル待ちをします。
ちなみに、以下のサイトでインタビュー会場の一覧、および各会場の次のインタビュー可能日が確認できます(ログイン不要です)。
U.S. Custom and Border Protection: Trusted Traveler Program -Schedule Appointment
(2)インタビュー会場として空港を選ぶ
ちなみに、全ての空港ではありませんが、JFKやNewarkをはじめとする一部の空港では週末を含む毎日インタビューを行っており、早朝から夜遅くまで開いているため、予約が比較的取りやすいようです。なので、もしもお住まいの近くの空港がインタビュー会場となっている場合、インタビューがすぐ受けられるかもしれないので、インタビュー日時に空きがないか確認してみる価値があると思います。例えば、JFK空港の場合、翌日のインタビューですら空きがありました。
各インタビュー会場の就業時間は以下のサイトに載っています。
U.S.Customs and Border Protection: Global Entry Enrollment Centers
(3)次回の海外旅行まで待つ
既に条件付き承認を得ており、なおかつ海外旅行へ近日中に行く予定がある場合の方に限りますが、CBPのEnrollment on Arrival(EoA)プログラムに参加している49の空港に、アメリカに帰国すぐに予約なしでグローバルエントリーのインタビューを受けることができます。
到着時にインタビューが受けられる空港のリストはこちらからどうぞ。
U.S. Customs and Border Protection: Enrollment on Arrival
(4)私の場合:キャンセルが出たところですかさず翌日のマンハッタンでのインタビューを予約
私の場合は上記の(1)と(2)の組み合わせた形です。前述の通り、2018年9月19日に条件付き承認を得たので、その日からインタビューの予約を始めました。
一ヶ月以内に日本へ旅行する予定があったのでなるべく早くインタビューを済ませたいと思っていました。その一方で、利便性からマンハッタン内のインタビュー会場を希望していましたが、その場合、大体一カ月半から2か月待ちという状態でした。そこで、暫定的に毎日インタビューを行っていて空きが沢山ある(その気になれば当日のインタビューすら可能な)JFK空港のインタビュー会場へ行こうと、一旦次の週末に予約を入れました。
もちろん、必要あればJFK空港のインタビュー会場へ行くつもりではいましたが、念のため30分おき位にマンハッタン市内のインタビュー会場でキャンセルがでないかチェックをしました。運よくダウンタウンの会場で翌日(9月20日)のキャンセルがでたので、すかさず変更しました。
4.4 インタビュー(9/20/2018)
前述の通り、マンハッタン市内でインタビューを受けました。具体的には、ダウンタウンにある「U.S. Custom House – Bowling Green」です。
インタビューというよりは単なる事務手続きだったようです。一階のセキュリティゲートを通った後(この際、名前を告げてちゃんとアポイントメントがあるかどうかを確認)、3階の待ち合わせスペースに行くように指示がありました。時間になったところで係員の人がきて、待ち合わせスペースにいた人の点呼、パスポート(アメリカ市民でない場合はグリーンカードも)を集めました。その後、その係員の誘導に従ってグループで4階の部屋に移動しました。
4階の部屋では、隅っこでグローバルエントリーに関するビデオ鑑賞をしました(パスポートとグリーンカードの情報と、申込用紙への記載内容の確認チェックをしている間の時間つぶしだったと思われます)。ビデオが終わりに近づいたころ、名前が呼ばれた順に係員のところまで行きました(とはいえ、係員は複数いたので何人も呼ばれて行きました)。私のときは、生年月日を聞かれたのみでした。指紋接種(たぶんグリーンカードとの整合性の確認のため?)と写真撮影をして終了だったようで、その場で、「承認がおりたので、1~2週間で郵送でカードが届く」こと、「グローバルエントリーの番号はもう有効なので、飛行機の場合はすぐに使い始めて大丈夫」と言われました。
インタビュー終了後30分位たったところで、U.S. Customs and Border Protectionより、「TTP Application Status Change」というタイトルのEメールを再び受け取りました。ログインしてみたところ、承認された旨が書かれていました。
4.5 カードの受け取り(郵送で到着:9/25/2018)
そして、数日後にはカードが手元に届きました。再度Trusted Traveler Programsのサイトにログインしてカードをアクティベートをして終了です。
次回の誕生日から5年間有効、有効期限の切れる一年前から更新手続きが可能とのことでした。飛行機での移動の時はカードの携帯は不要、カナダやメキシコからの陸路での入国の時はカードを提示するように記載されています。
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