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アメリカのロースクールの学費について

知っていても全く得にはならないのですが、最近話題になっている小室圭さんの学生ビザ未取得疑惑の関連で、アメリカのロースクールの学費っていくらぐらいなのか気になったので調べてしまいました。せっかくなのでシェアしたいと思います。

1.アメリカのロースクールのシステムについて

ご存知の方も多いかと思いますが、ロースクールには、以下の四種類があります。

  • 3年制のJuris Doctor (J.D., 法務博士)。実務家養成のためのプログラム。
  • 1年制のMaster of Laws (LL.M., 法学修士)。J.D.卒業生または留学生対象のためのプログラム。
  • Master of Studies in Laws (M.S.L.)。
  • Doctor of Juridical Science (D.J.S.,  法学博士)。Scientiae Juridicae Doctor(S.J.D.)ともいうようです。Ph.Dに相当する学位で、Wikipediaによると取得には3~5年かかるそうです。

アメリカ人の場合は、四年制の大学に法律学部がないので、Bar Exam(弁護士試験)を受けたい人は、大学を終了後J.D.へ進学します。かなり一部ですが、専門分野についてさらに学びたい場合は、J.D.を終了後にLL.M.に、更に法学を学術的に極めたい場合にはLL.M.終了後にD.J.S.に進む人もいます。

尚、Master of Studies in Laws (M.S.L.)というプログラムがあることは今回初めて知ったのですが、実務家になることを希望せず純粋に法学を勉強したい人のためのプログラムのようで、一部のロースクールに設置されているようです。ただしM.S.L.を設けているロースクールであっても、D.J.S.に進むにはM.S.L.ではなくてLL.M.が必要のようなので、M.S.L.は法律を学術的に極めるというよりはちょっと法律をかじりたい人向けのプログラムのようです。

これに対して、アメリカ国外の大学に通って法学部を履修・卒業した場合(主に留学生)は、J.D.をスキップしてLL.M.に入学することができます(尚、日本の場合、法科大学院ができたことに伴い、LL.M.への入学には大学の法学部へ行っただけでは不十分な場合がでてきたようです。詳しくは以下の記事中、1.3を読んでください。)

アメリカのロースクールに留学した場合「LL.M. (Master in Laws, 法律修士) からJ.D. (Juris Doctor, 法務博士) への編入」が可能なのかについて調べてみました。また、アメリカ(主にNY州)の司法試験を受けるのに必要な学歴についても検証してみました。

もちろん、アメリカ国外で法学士を取得した場合であっても、あえてLL.M.ではなくてJ.D.を選ぶ人も割といるようです。例えば、母国で弁護士資格を取得後アメリカのJ.D.課程を終了してNY州のBar Exam(司法試験)を受けて米国の資格も取得した弁護士さんや、母国では弁護士ではないものの法学部を卒業したのでJ.D.の一年目終了後にNY州のBar Examを受けて合格(もちろんその後もJ.D.課程を終了し、JDの学位も取得)された方にお会いしたことがあります。

2.ロースクールの学費について

2.1 学費の高い順リスト

“law school tuition”でぐぐったところ、一発で見つかりました。2017年のランキングですが、学費が高い順に並んでいます。180校以上がリストされているのですが、とりあえず上位20位を転載します。一位はコロンビア大学(NY州)で、学費$62,700、滞在費$17,472になってます。

(出典:“Law School Rankings by Tuition” by Internet Resource Group at  https://www.ilrg.com/rankings/law/tuition/1/desc/Tuition [2018年10月3日にアクセスした時のデータ])

2.2 ロースクール・ランキング

上記は2017年の学費でしたが、最新の情報が掲載されているリストを見つけたのでご紹介します。こちらは学費の高い順ではなくて、 U.S. News & World Reportが毎年発表している「Best Law  School」のランキングですが、各校の学費も学校名の右の欄に掲載されています。

(参考:“Best Law Schools” by U.S. News & World Report at https://www.usnews.com/best-graduate-schools/top-law-schools/law-rankings)

2.3 フォーダム大学ロースクールの場合

上記のリストは1年分だと思うのですが、念のためフォーダム大学ロースクールを例に検証してみます。ちなみに、学費の高さとしては堂々の16位です(2017年の学費は$54,116になってます)。気になったので、J.D.の学費とLL.M.の学費も比較してみます。

結論として、J.D.の学費とLL.M.の学費は同額でした。なので、上記の表はやはり1年分でした。2018年の年間の学費は$59,538となっているので、1年で5,000ドル強の値上がりとなっています。

J.D.フルタイムの場合 (2018 秋学期 – 2019 春学期)

LL.M.フルタイムの場合 (2018 秋学期 – 2019 春学期)

(出典:https://www.fordham.edu/info/21345/tuition_and_cost_of_attendance )

2.4 小室さんの場合

フォーダム大学のアナウンスメントによると小室さんが留学するのはLL.M.のようで、LL.M.を卒業後J.D.への編入を「希望」しているようです。

LL.M.プログラムの学費については奨学金(Michael M. Martin Scholarship) がカバーするとのことなので、学生ビザの申請に必要なのはLiving Expense Allowanceの部分の証明、300万円くらいのようです。ただし、2年目、3年目の学費はどうするのかについては特に報道はされていないようです。

Kei Komuro, a paralegal at the Okuno & Partners law firm in Japan, will attend Fordham Law School starting in August. Mr. Komuro and Japan’s Princess Mako announced in September 2017 that they plan to marry.
Mr. Komuro has received the Michael M. Martin Scholarship. The Martin Scholarship is a merit scholarship covering the full cost of tuition from Fordham Law based on his strong academic and other credentials. The Martin Scholarship is not a loan and does not need to be repaid. He will enter the law school’s one-year LL.M. program and then hopes to continue for two more years to receive a J.D.
Recipients [of the scholarship] will be awarded a scholarship equal to 100% of the LL.M. tuition.

3. (おまけ1) アメリカMBAの学費について

せっかくなので、ついでにMBA(2年制)の学費についても調べてみました。ロースクール程網羅的なリストは見つからなかったのですが、下記の表が結構詳しく出ていました。2015年のデータに一部2017年の更新を加えたデータだそうです。ロースクール同様(というか、ロースクール以上に)高いです。
(出典:“MBA Cost Comparison” by ARINGO at https://aringo.com/mba-cost-comparison/ [2018年10月3日にアクセスしたときのデータ])
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尚、MBAについてもU.S. News & World Reportが毎年ランキングを発表しているので、リンクを貼っておきます。ロースクール同様、各校の最新の学費も学校名の右の欄に掲載されています。
(参考:“Best Business Schools” by U.S.News & World Report at https://www.usnews.com/best-graduate-schools/top-business-schools/mba-rankings)

4. (おまけ2) 私の場合

全くどうでもいい話ですが、私の母校の学費はどうなったのかも気になったので確認してみました。おおむね15~20年弱前の学費と2018年度の学費の比較です。どちらも秋学期と春学期、合わせて9か月間が対象です。ほぼ倍増していました。

留学当時
(学校発行のI-20より)
2018 秋学期 – 2019 春学期
母校その1 $21,625 $47,260
母校その2 $33,332 $63,800

ということで、アメリカへの留学、アメリカでの就学を考えている方は、学費の高騰が著しいので、早ければ早いほうが良いということになりそうですね。