en_US

メトロポリタン・オペラを安価に楽しむ方法:Rush Ticket(ラッシュ・チケット)の利用について 

Photo by Jun Kurema

最近メトロポリタン・オペラにはまっています。というのも、公演当日に$25でラッシュ・チケットの購入ができることを知ったからです。しかも席は一階のオーケストラシートです。2019年の10月~12月で既に4回ラッシュ・チケットを利用して観劇したので、その時に学んだラッシュ・チケットの購入のコツ、および実際にどんな席が割り当てられたのかについて紹介したいと思います。

1.メトロポリタン・オペラの座席表と値段について

まずは全体像から。以下はメトロポリタン・オペラの2019-20シーズンのシーズンカレンダーからの抜粋ですが、メトロポリタン・オペラの席は6階まであり、値段が事細かに細分化されています。ちなみに、3,800席あるようです。

(2019–20 Metropolitan Opera Season Calendarからの抜粋 )
(2019–20 Metropolitan Opera Season Calendarからの抜粋 )

上記の価格表にある、「A」、「B」、「C」等のアルファベットは、演目・曜日・時間帯によって変わるようで、同じ演目でも日によって「A」だったり「B」だったりと変わります。

Tickets to the Met start at just $25, with more than a third of Met tickets available for under $100. Here are some other ways to get access to lower-priced tickets at the Met.

https://www.metopera.org/season/tickets/

上記の通り、メトロポリタン・オペラのサイトによると、3分の1以上の席は$100以下で購入可、一番安い席だと$25~となっています。ちなみに、この$25というのが以下で紹介するラッシュチケット(Rush Ticket)を利用した場合です。Family Circle (6階)やBalcony Box (5階横)もかなり手ごろな値段ですね。

また、上記の表には記載されていませんが、立見席もあります。 オーケストラシートの立見席が$25~$40、ファミリーサークルの立見席が$20~$30のようです。詳しくはこちらから → https://www.metopera.org/about/faq/standing-room-ticket-information/

2. ラッシュ・チケットの買い方

2.1 ラッシュ・チケット概要

メトロポリタン・オペラのサイトにすべて書いてあるのですが、以下簡単に説明します。

まず、チケットが発売される日程ですが、オペラの上演当日となります。残席があった場合のみになるので必ず販売されるわけではない点注意してください。

販売開始時間は、平日の夜に上演の場合はお昼(12:00 PM)から、土曜日のマチネの場合は上演の4時間前(1:00 PMに開演なので9:00 AM)から、土曜日の夜に上演の場合は2:00 PMからです。

購入は、メトロポリタン・オペラのサイト(https://www.metopera.org/season/tickets/rush-page/ )からで、先着順になります。

前述の通りオーケストラ席が一枚$25で買えます。最大購入枚数は2枚までで、利用できるのは7日毎に一回という制限があります。なので、3名以上で観劇する場合や「オペラが大好きなのでNYを観光中は毎日観たい」という場合に向かないかもしれません。

チケットの購入時に、チケットを自分でプリントアウトするか、ボックスオフィスで受け取るか選択できます。

2.2 ラッシュ・チケットを確実に購入する方法

ここ2~3か月観察したのみですが、演目によっては販売開始後一時間たっても販売していることもあれば、販売開始後数分で売り切れてしまうこともあります。 例えば、以下は2019年11月30日にとったスクリーンショットですが、1:00 PM開演のマチネは9:00 AMにラッシュ・チケットが販売開始されましたが、9:02 AMの時点では既に売り切れになっていました。

私は今のところ毎回希望する日に購入できたので、私がとったラッシュ・チケットを確実に購入するコツを伝授したいと思います。

尚、ラッシュ・チケットの購入のためにはメトロポリタン・オペラのサイトに登録の上、ログインした状態で購入ボタンを押す必要があるので、前もって会員登録を済ませておいてください。会員登録の際には、Emailアドレス、住所と電話番号の入力が必要になります。登録はこちらから→  https://www.metopera.org/account/register/

(1)ラッシュ・チケットが販売されるか前もって確認(任意)

まずは、Rush Ticketの販売ページに行き、前もってその日にラッシュ・チケットの販売がありそうか、何時から販売開始か確認します。 先ほどの2019年11月30日にとったスクリーンショットでは、夜の部のラッシュ・チケットは2:00 PMから販売開始と書かれています(赤字部分参照)。

(2)販売開始時間が近づいてきたら、 メトロポリタン・オペラのサイトにログインしておきます。

(3)再び Rush Ticketの販売ページに行き、秒単位まで表示する(←ここ重要)時計をにらんでカウントダウンを待ちます。

(4)販売開始時間直前になったら画面をリフレッシュし、画面の赤字(”Come back to this page at …. PM to purchase Rush Tickets“)が消えて購入ボタンになったら、”I’m not a robot”の右にチェックマークを入れ、購入ボタンを押します。

ちなみに、1秒でも早く購入したほうがより良い席が割り当てられると思います。ということで、リフレッシュにかかる時間を前もって検証しておくとより効果的です。例えば、私の場合、最近スマホを新しいものに変えたのですが、新しいスマホだと1秒でリフレッシュが終わってしまうのであまりに早くリフレッシュするとまだ “Come back to this page at …. PM to purchase Rush Tickets“の画面のままだったりします。なので11:59 AM になるのを待ってからリフレッシュすることにしています。古いスマホの時は2~3秒かかったので11:57 AMまたは11:58 AMにリフレッシュしていました。

(5)次の画面で「Best Available Seat」を選択し、席が表示されたら成功です。時間制限内に(多分10分~15分位)クレジットカード情報を入力、チケットの受け取り方法を選択(プリントアウトまたはボックスオフィスで受け取り)を選択して終了です。

2.3 (体験談)ラッシュ・チケット購入時に割り当てられた席

結論から言うと、4回のうち、3回がオーケストラ・バランス席(以下の表中、水色の席)、1回がオーケストラ・リア席(以下の表中、黄色の席)でした。

ラッシュ・チケット購入直後にどの席がまだ購入可能か確認したのですが、いずれももっと良い席(オーケストラ・プライム席およびそれよりも前の席)はまだ売れずに残っていたので、 オーケストラ・バランス 席または オーケストラ・リア席 が割り当てられると思ってまず間違いないのではないかと思います。一回目は様子見で一人で観劇、二回目以降は二席づつ購入していますがいずれも隣同士の席を割り当てられました。

(Zone Seating Chartからの抜粋)

以下、私がRush Ticketを利用して観劇したオペラの演目と、その時に割り当てられた席についての情報です。ちなみに上掲の表の通り、オーケストラ席(一階席)はA~EE席まであります。

2.3.1 マノン(Manon)

日時:2019年10月26日 1:00 PM~5:05 PM (休憩 2回)

特記:2回の休憩をはさんで4時間超、ひたすら長かったです。今シーズン最後の公演だったこともあり後方の席には空席もちょっとありました。一人で観にいったので周りはどうかなと思って注意を払ってみたところ、結構一人で観に来ている人がいました。

席:ORCH Row Z Seat 25

2.3.2  蝶々夫人(Madama Butterfly)

日時:2019年11月13日 7:30 PM ~10:45 PM (休憩 2回)

席:ORCH Row R Seat 30, 32

特記:ミュージカルのミス・サイゴンを観たことがあったので、オペラ初心者の主人にもとっつきやすいかなと思って選びました。蝶々夫人の子供役は人形(文楽で使うようなもの)で、黒子が操っていたのが興味深かったです。舞台の天井に鏡が使ってあるようなので下の方の階で観た方が鏡に映る映像も見えて楽しめるかと思います。

2.3.3 フィガロの結婚(Le Nozze Di Figaro)

日時:2019年11月30日 1:00 PM ~ 4:30 PM(休憩1回)

席:ORCH Row CC Seat 34, 36

特記: 唯一オーケストラ・リア席が割り当てられた演目です。人気の演目で立見席の人も結構いました。思わず声を出して笑ってしまう場面が何度もあるコメディ作品です。

2.3.4 魔笛(The Magic Flute)Holiday Version

日時:2019年12月24日 7:30 PM ~9:15 PM (休憩なし)

席:ORCH Row X Seat 26, 28

特記:Holiday Versionということで、英語かつ簡約化(Abridged)版での公演でした。小さなお子さん連れで観劇されている人も多かったです。

3. メトロポリタン・オペラQ&A

Q:最寄り駅はどこですか?
A:地下鉄の場合、1ライン 66th Street (Lincoln Center) Station が最寄り駅ですが、A, B, C, Dラインの59th Street Stationからも十分に徒歩圏内です。バスや車での行き方はこちらを参照ください → Getting Here 

Q:服装について
A:カクテルドレスの人もいれば、スーツ姿の人、ジーンズの人もいました。なので席の価格に合わせた服装をするのが無難です(高価な席の場合はそれなりの服装の方がいいかも)。Rush Ticket(オーケストラバランス席、リア席の場合)はそれほど気張ってドレスアップしなくてもよいと思います。地下(劇場に入って左下)にはコート預り所もあるので、長いコートを着ていっても安心です。

Q:トイレについて
A:各階の左右にあります。

Q:エレベーターはありますか?
A:中央にエレベーターが数基、また、劇場の左右は階段もあります。

Q:食べもの・飲み物は持ち込めますか?
A:持ち込み自体は問題ないようですが、飲食は座席では避けた方がよいようです。ミュージカル同様、アルコールを含む飲み物の購入も可能ですし、紙コップとウォーターファウンテンもあります。また休憩時間中に一旦外に出ることも可能です(ボックスオフィスの近くにベンチがあるので、座って食べたい場合)。

Q:字幕で内容を確認できますか?
A:各席の前に字幕を表示するディスプレイがあります。表示される言語は劇によって異なります。日本語は選べませんが、当然英語はいつもあります。オン・オフは各自で選べます。ちなみに、立見席の場合も字幕標示用のディスプレイがあります。

Q:一年中観れますか?
A:開演は9月~5月の期間限定のようです。2019-2020シーズンに上演している演目については以下の記事をご覧ください。

メトロポリタン・オペラ、2019-2020シーズンの演目についての紹介です。無料でメトロポリタン・オペラのライブ放送が聞けるSaturday Matinee Broadcasts(土曜日マチネ放送)および映画館でのライブ公演(こちらは有料です)についても紹介しています。