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アメリカでのお金の運用~何に投資するか (中上級編:現物株式)

アメリカでの投資、中上級編です。今回は株式投資についてです。

1. 現物株とは

まず「株」とは、会社が事業のためのお金を集める手段の1つで、株を持つ=会社の所有者ということになります。また、もしその会社の事業がうまくいけば、株を持っている人(=株主)にも、配当という形で利益が配分される形式になっています。

現物株式と、あえて「現物」をつけたのは「信用取引(マージン取引)」や「オプション取引」と区別するためです。 また「中上級」としたのは、信用取引やオプション取引の方が現物株式の取引よりも複雑なので「上級」はそれらのためにとっておこうと思ったからです。

2. 株の分類

2.1 割安株 (Value Stock) vs 成長株 (Growth Stock)

割安株(バリュー株)とは会社の本来の価値よりも株式の価格が低い株のことです。 ウォーレン・バフェット氏が割安株への投資家として有名ですね。何が割安株にあたるかについて明確に定義があるわけではありませんが、一番よく使われる指標としては株価を一株当たり利益で割った「株価収益率」(PER=Price Earnings Ratio)があげられます。これについては回を改めて説明します。

成長株(グロース株)とは、他の会社よりも成長率の激しい会社の株を指します。これも年何パーセント以上の成長率というような定義があるわけではありません。成長株の場合は、利益が出ていてもさらなる成長のための投資に回すために、配当金を支払わないケースが多いです。

2.2 景気循環銘柄 (Cyclical Stock) vs 安定成長型銘柄 (Secular Growth Stock)

循環型銘柄とは、景気の循環によって業績が大きく左右される業種の銘柄のことです。例としては、紙パルプ・化学・鉄鋼等の素材産業や工作機械メーカー等の設備投資関連などの銘柄が挙げられます。

安定成長型銘柄とは、景気に左右されにくい生活必需品を扱う業種の銘柄のことで、医療品会社、食品会社、トイレタリー商品関連などの銘柄が上げられます。

私はこの概念については、Jim Cramer氏の著書「Real Money」(邦題:ジム・クレイマーの株式投資大作戦)で初めて体系だって学びました。Cramer氏がホストを務める番組「Cramer’s Mad Money」でも折に触れて説明されています。最近の放送だと、2020年1月2日放送(CNBC: The trick to investing is knowing the difference between cyclical and secular growth stocks, Jim Cramer says)で割と詳しめに説明していました。

2.3 国内株 vs 外国株(ADR)

ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック証券所(Nasdaq)に上場しているのは大半がアメリカ企業ですが、外国の企業も上場しています。 ここ数年投資関連のニュースなどでよく耳にする外国株としてはNYSEに上場している中国のアリババ(BABA)があります。トヨタ自動車(TM)やソニー(SNE)等、日本の企業もNYSEに上場しています。

その他の NYSE やNasaqに上場している外国株についてはこちらのサイトにリストがあります → https://topforeignstocks.com/foreign-adrs-list/

売買するうえではアメリカ株もNYSEやNasdaqに上場されている外国株も特に違いはありません(株価もドルで表示されますし、取引手数料もアメリカ企業の株を売買するのと同額です)(注1)。 NYSEやNasdaqに上場されている外国株 とアメリカ企業の株との違いとしては、外国株はAmerican Depositary Receipt (ADR)という形式をとっていること(注2)、アメリカ証券取引所(SEC)への提出書類の呼び方がアメリカ企業の場合と違うこと(注3)、および配当金が支払われる際に自動的にForeign Taxが引かれていることなどが挙げられます。

(注1) 証券会社によっては、外国の証券取引所に上場している外国株(例えば東京証券取引所に上場しているトヨタ自動車株)の購入も可能ですが、手数料等の費用体系も違うので、本ページを含む本サイトでは分析の対象外です。

(注2) ADRの説明についてはこちら→ Nasdaq: ADR from Glossary of Stock Market Terms(https://www.nasdaq.com/glossary/a/american-depositary-receipts)

(注3)例えば、SECに提出されるAnnual Reportの呼び方がアメリカ企業の場合はForm 10-Kなのに対して外国企業の場合はForm 20-Fだったりします。

2.4 普通株(Common Stock) vs 優先株(Preferred Stock)

この部分は投資にはあまり関係ないので興味のない方はスルーしてください。

一般的に目にするのは普通株ですが、これは会社の持ち主としての権利で通常は一株につき一つ投票権が与えられます。通常と書いたのは会社の創業者やCEO等は一株当たりに複数の投票権がある株を持つことがあるからです(Super Voting ShareとかSuper Voting Common Stock)と呼ばれるようです。 最近の例だと2019年に株式上場を予定していたものの取りやめたWe Workの場合、創業者が最初は一株につき20投票権が与えられる予定だったようです(最終的には3投票権になりましたが)。

優先株とは、投票権が与えられない代わりに、優先的に配当が配分される株式のことです。優先株を発行している会社の例を探してみたのですが、一覧表みたいな形では見つかりませんでした。Seeking Alphaの寄稿者の中に優先株の新規上場(IPO)を毎月フォローしている人がいたので参考までに紹介します。→ Seeking Alpha: Doug K. Le Du

3. 株式取引の特徴

3.1 値決めのタイミング

証券取引所(NYSE、Nasdaq, etc.)が開いている間は、売り注文と買い注文(需要と供給)のバランスに応じて値段が刻々と変わります。証券取引所の開業時間は、アメリカ東部標準時間の9:30 amから4:00 pmです。

ただし証券会社によっては 9:30 amから4:00 pm の前後にも取引ができるようです。例えばFidelityの場合はPre-Market (7:00 am – 9:28 am) とAfter-Hours (4:00 pm – 8:00 pm)の時間帯にも取引可です。とはいえ、このような時間外の取引は通常の時間帯と比べてリスクが高いので、改めて申し込んだ上でFidelityのRepresentativeと話をする必要があるようです。(参考:Fidelity:Extended Hours Trading

3.2 最低購入金額

通常は1株単位での購入になるので、その場合の最低購入金額1株の価格になります。証券会社によっては単位未満株(Fractional Share)を購入できます。その場合はその証券会社が設定した最低購入単位または最低購入金額になります。

ちなみに、2020年1月末よりFidelityで単位未満株での株式の売買が可能になりました。現在のところスマホアプリからの取引の場合のみ利用可能のようですが、これに伴いスマホアプリからの取引に限っては、最低購入単位は0.01株、最低購入単価は$0.01となります。(参考:Fidelity: Dollar-based investing)

また、Charles Schwabは2019年10月に、Robinhoodも2019年12月に単位未満株での取引きを将来的に導入する旨の発表を行いましたが、いつ実現するかについては今のところ不明です。

3.3 購入・売却時の手数料

購入・売却時の手数料は株式と同額です。従って、利用する証券会社によって異なります。

2019年10月に Charles Schwabが株式取引手数料を無料にしたのを筆頭に、TD Ameritrade、E-Trade、Fidelity等、各社が追随しました。ということで、購入時にも売却時にも手数料無料という証券会社が多いです。

3.6 売買の仕方

売買には、基本的には売買希望株式数を指定します。ただし、マーケット注文(現在レートでの指値注文)以外に、リミット注文(売買価格を指定して注文・指値注文)、ストップ注文(逆指値注文)ができるので、価格を指定しておけば結果的には取引金額を指定することになります。但し、その場合は、指定した価格に達しない可能性もあるので希望する日に売買できない、または売買する機会を喪失してしまうこともありえます。

単位未満株の売買ができる証券会社(Fidelityのスマホアプリ等)の場合は、株式数または購入金額(ドル金額)のどちらかを指定して購入できます。

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