
今日から数回に分けて、アメリカでどんな投資先があるかを考えていきたいと思います。まずは入門編ということで、ローリスク・ローリターンの投資先についての説明です。
投資を始める前提として、万が一失業や病気になったときに困らないような資金が別途あって、それ以外のお金を利用すべきということは周知のことと思います。いくら位の残しておくべきかという話はまた別の機会に譲るとして、普通口座に残したままの方が良いか、定期預金にした方が良いかという観点から、さらっと書いていきたいと思います。
目次
1. 普通預金口座(Saving Account)
1.1 普通預金口座のメリット
いわずもがなですが、普通預金口座に入っているお金の場合、現金が必要な時に即日おろせます。また、元本保証なので、元本を下回ることはありません。さらに、Deposit Insurance Corporation (FDIC)-insured口座の場合、銀行が倒産した場合であっても$250,000までは補償されます。
1.2 普通預金口座のデメリット
最大の欠点は、取引内容によっては、一カ月の使用限度が6回以内との制限があることです。といっても、ATMでお金を降ろすのはカウントされず、Checking Accountとのお金のやり取りやクレジットカードの支払いのための引き落とし等の場合です(詳細は下記リンク参考)。
あとは、これは定期預金の場合にも当てはまりますが、長期で考えたときに、普通口座の利率がインフレーションの率よりも低い場合は実質的には目減りしていることになるので、あまり大きな金額を長期にわたって普通預金に入れっぱなしにしておくのはかえって損することになります。
1.3 普通口座の金利について
今のところ、普通預金の金利は金融機関によって2%台のところと、1%未満のところと二極分化されているようです。例えば、2019年4月末時点で、JPMorgan Chase BankおよびWells Fargoだと0.01%、Bank of Americaだと0.03%に対し、HSBC 2.25%、Ally Bankだと2.2%等です。
以下のグラフは、過去20年間のフェデラルファンド金利の動きですが、2016年以降徐々に金利が上がってきています。2019年4月29日現在の金利は2.45%とのことです。もちろん、普通預金の利率と同じではありませんが、連動した動きをしているので参考になると思います。例えば、2007年のフェデラルファンド金利は5%超ですが、当時口座を持っていたWashington Mutual の普通預金口座の金利が5%でした。
2. 定期預金(Certificate of Deposit)
安全志向の人の場合、まず先に思いつくのが定期預金です。私もFidelity証券に口座を開いて最初に投資をしたのは実は定期預金でした。
2.1 定期預金のメリット
普通口座同様、元本保証なことおよび、一定の期間は金利が保証されていることが定期預金のメリットです。同じ銀行同士を比べた場合、一般的には普通預金よりも利率もいいです。また、普通預金口座同様、元本保証なので、元本を下回ることはありません。さらに、Deposit Insurance Corporation (FDIC)-insured口座の場合、銀行が倒産した場合であっても$250,000までは補償されという点も同様です。
2.2 定期預金のデメリット
中途解約ができないタイプの定期預金だと、一定期間お金が下せないというのが最大のデメリットです。ただし、お金が必要そうな場合は一か月等の短期の定期預金にしたり、Early Withdrawal feeを支払うことによって中途解約できるタイプの定期預金を選ぶことで回避できます(後者の場合、Early Withdrawal feeの支払いがデメリットになりますが)。
2.3 定期預金を購入するときの注意点
定期預金のデメリットとかぶりますが、定期預金を買うときは以下の点を念頭においてください。
- 満期前に中途解約できるか(できないタイプがあります)
- 中途解約できる場合、Early Withdrawal Feeはいくらか(利率は下がりますが、Early Withdrawal Feeがかからないタイプもあります)
- 満期時に自動更新の場合、自動更新を辞める方法(オンラインですべてできるタイプと、銀行に電話するタイプとがあります)
2.4 銀行で定期預金を買う場合のメリット・デメリット
一般的にはすでに取引のある銀行で買うかと思いますが、この場合のメリットは、手続きをしたその日からスタートするということです。あとは、満期時に自動更新される場合がほとんどなので、余裕資金の場合購入しなおす必要がないということも挙げられます。
2.5 証券会社(Brokerage Firm)の口座で買う場合の注意点
前述の通りしばらくFidelity証券で買っていた時期があるので、その時に学んだことをちょっと付け足します。
証券会社で購入する場合、様々な銀行が用意した定期預金が購入できるので結構お勧めです。満期日で並べなおしたり、利率の高い順に並べ直したりしていろいろ比較できます。
最大の利点(銀行からの購入との違い)は、セカンダリーマーケット(流通市場)があるので、満期前に株式と同様に売買ができることです。結果としていつでも中途解約ができることになります。
注意点としては、いつから定期預金が開始するかはあらかじめ決まっている(買ったその日から始まるわけではない)ということです。例えば、以下は4月30日時点でFidelityから購入できる定期預金(新規発行のもの)を満期日の早い順に並び替えたものですが、一番早いものでも設定日が5月6日、満期日が6月6日となっています。利率2.2%ですが、5月1日に申し込んだとしても、利息が付き始めるのはは5月6日からになります。また、自動更新はないので、満期になり次第、預け替えるという作業を繰り返すことになります。
フィデリティ証券のCD市場の一例(2019年4月30日現在)

3. 普通預金口座と定期預金の使い分け方
3.1 金利を比較
私の知る限り、以下のBankrateのサイトが、普通預金および定期預金の金利を一番網羅的に紹介しています。
では、普通預金口座の利率と定期預金の利率の比較から始めましょう。一番金利がいいというわけではありませんが、とりあえずは私が口座を持っているのでAlly Bankを例にとってみます。
2019年4月30日現在の利率は以下の通りです。
種類 | 金利 | |
普通預金 | 2.20% | |
High Yield CD(注1) |
3か月 | 0.75% |
6か月 | 1.00% | |
9か月 | 1.25% | |
12か月 |
|
|
5年 | 3.00% | |
No Penalty CD (注2) | 11か月 |
1.80% |
(注1)預入金額による金利の違いはなし。中途解約した場合のペナルティは購入時に設定した満期まで期間の期間によって異なる(24か月以下の定期の場合60日分が、49か月以上の満期のものの場合150日分の金利が没収される。)。この他に、18カ月および3年の期間設定可能(これらの場合は預入金額によって利率が異なる。2.45%~2.65%の間。早期解約時のペナルティは60日または90日分の金利)
(注2) 中途解約時のペナルティなし。上記の表では$5,000未満を預け入れた時の金利を表記。$5,000以上$25,000の場合の利率は2.15%、$25,000の場合の利率は2.3%
3.2 普通預金と定期預金の配分を決める
単純にAlly Bankだけを比べると、普通預金の金利が思ったよりもいいこともあって、このまま普通預金でいいかなという気もしますが、フィデリティ証券等、証券会社からの購入を視野に入れると定期預金の方が金利はいいようです。
なので、私のお勧めは余裕資金として生活費の2~3か月分を普通預金口座にキープし、さらに2~3か月分+αを定期預金に預けておくという方法です。
3.3 CD Ladderを作る
定期預金を作る場合ですが、同じ期間の定期を一つだけ作るのではなく、いくつかに分けるやり方がお勧めです。例えば、3か月満期の定期を4月、5月、6月に開始というように3か月にわたって作り自動更新にしておくと、毎月満期を迎える定期を持っていることになります。
あるいは(または同時並行で)、解約時にペナルティを支払う前提で、長期で金利がいい定期預金(上記のAlly Bankの5年もののHigh Yield CD等)を、小口で何個かに分けて作るというのもいいかもしれません。例えば、上記のAlly Bankの3%の金利の5年満期の定期預金(但し解約時に150日分のペナルティ)と2.2%の普通預金を比較した場合、何か月以上預ければ5年満期の定期の方が利息が多くなるのかざっくりと計算してみましたが、以下の通り分岐点は18~19カ月の間とでました。
但し、これは現在の普通預金の金利2.2%がずっと続くことを前提としているので、普通預金の金利が今後変動した場合には結果は変わってきます。19か月の間には普通預金の金利が上下することは十分ありえるので、今後金利が上がると予想するか下がると予想するかによって、この方法を取るべきかは変わってくると思います。
(前提)$5,000を預け入れた場合につく金利を複利で計算(簡易化のため月ごとに複利計算。実際は日ごとに金利が付くので結果は若干異なります)。
(計算結果)
普通預金(現行2.2%が続くと仮定) | 5年定期預金(3%、解約時ペナルティとして150日分の利息) | |
スタート時 | $5,000.00 | $5,000.00 |
18か月目 | $5,167.60 | $5,229.85 – $64.89 = $5,164.96 |
19か月目 | $5,177.07 | $5,242.92 – $65.05 = $5,177.87 |
少額のものをいくつか作る理由は中途解約する必要が出てきた場合、通常は部分的な解約はできずに全額解約することになるので、こうすることによって必要な分だけ解約できるのでペナルティの金額が少なく済むからです。
The following two tabs change content below.
アメリカ(ニューヨーク)に住み始めて19年目です。株式投資、インターネット活動を通して自宅で安定収入を得ることを目指しています。 ▶ 詳しいプロフィールはこちらから。
**********************
I am a Japanese, residing in the US. I am trying to find a way to earn stable income at home through investments in stocks or other products as well as some sort of internet business. ▶ More detailed profile can be viewed from here.
**********************
I am a Japanese, residing in the US. I am trying to find a way to earn stable income at home through investments in stocks or other products as well as some sort of internet business. ▶ More detailed profile can be viewed from here.
最新記事 by 暮眞★潤 (Jun Kurema) (全て見る)
- ジム・クレイマー氏に学ぶ:2024年9月末時点のクレイマー氏の慈善信託 (charitable trust)のポートフォリオ - 2024年10月21日
- ジム・クレイマー氏に学ぶ:2024年8月末時点のクレイマー氏の慈善信託 (charitable trust)のポートフォリオ - 2024年9月1日
- ウォーレン・バフェット氏に学ぶ:2024年6月末のバークシャー・ハサウェイのポートフォリオ(2024年8月公表) - 2024年9月1日
- メトロポリタン・オペラ 2024-2025シーズンの演目一覧(劇場・ラジオ・映画館) - 2024年8月5日
- ジム・クレイマー氏に学ぶ:2024年7月末時点のクレイマー氏の慈善信託 (charitable trust)のポートフォリオ - 2024年8月5日